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【社会】

日本だけ騒ぎすぎ? 新型インフルエンザ

2009年5月11日 夕刊

 空港検疫で見つかった新型インフルエンザが国内で発生するのは時間の問題。感染者が増えれば自治体は国の要請で学校の休校やイベント自粛などを求める可能性がある。毎年のインフルエンザに比べて症状が突出しておらず薬も効くことから「そこまでやるのは行きすぎ」の声も。外国では「日本だけ騒いでいるのでは?」との見方もある。

 初めての感染者が見つかる前から国内の過剰反応の例はいくつかある。外国に行っただけで出社や登校しないよう求められたり、食料備蓄を呼びかける放送局まであった。医師の古川俊治参院議員が国会質問で「大流行に備えてベッドを空けるため、緊急でない手術は延期するなどの措置がとられた病院もある。過剰反応では」とただすほどだ。

 過敏な反応がでる要因の1つは、国の行動計画が「強毒性の鳥インフルエンザ」に対応しているからだ。今回のウイルスは弱毒性とみられ、症状もマイルドなのに、計画は大人がバタバタ倒れ、全身症状を起こして死亡する想定だ。

 Aソ連型、A香港型など季節性のインフルエンザは、国内で毎年1万人の死者が出る。現在も数万人の患者がいると推定される。増え続けているとはいえ世界で新型の患者数は4500を超えたところだ。

 もっとも、新型を軽視するのは危険で、押谷仁東北大教授は「感染力はかなりある」と話し「過度に恐れる必要はないが、ある程度の被害は想定すべきだ」。

 国立感染症研究所の岡部信彦・感染症情報センター長は「日本には、すべてを心配する『過剰心配症候群』と、大したことはないと思う『無視症候群』がいる。そのバランスをとりながら対策を講じるのが難しい」と国民性を指摘する。

 「なぜマスクをしなかった?」「注意が足りない」などと、感染した人が悪く言われ、差別が生まれかねない反応は心配。岡部さんもそう懸念する。

 

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