【ニューデリー栗田慎一】スリランカ政府軍と戦闘を続ける反政府武装組織「タミル・イーラム解放のトラ」(LTTE)寄りのウェブサイトは10日、「政府軍が非戦闘地域の仮設病院を重火器で攻撃し、子供67人を含む257人の遺体が確認された」との非難声明を出した。「死者は2000人以上の恐れがある」と主張している。政府軍は声明を全面的に否定している。
また、英BBCテレビは地元医師の話として「死者378人、負傷者1122人」と報じる一方、「政府が現場への立ち入りを禁じているため(真偽は)検証不可能」としている。
数百人もの市民が犠牲になったとの情報が正しければ、内戦史上でも極めて深刻な事態と言える。
市民の安全確保を求める国際的な圧力の下、スリランカ政府は4月下旬、LTTEの「人間の盾」になっている地元住民を守るため「重火器の不使用」を約束。現在、LTTE支配地域を4平方キロ前後に狭め、「LTTEが(支配地域の)民間人の脱出を妨害している」と非難している。
毎日新聞 2009年5月10日 19時05分(最終更新 5月10日 23時22分)