高気圧に覆われ高温、微風、強い日差しの3条件がそろった8日、福岡▽佐賀▽熊本▽長崎▽鹿児島の5県で光化学スモッグ注意報が相次いで出された。鹿児島県では観測史上初の注意報で、東シナ海で発生したオキシダントが北北西の風に乗って流れ込んだ可能性が指摘されている。注意報が出た自治体では外出や屋外での運動を控えるよう呼びかけ、小中学校では運動会の練習を屋内に切り替えたり、部活動を中止するなど対応に追われた。
福岡県では前原市と福岡市の全域、二丈町などで注意報が発令された。福岡市での発令は05年5月以来、2年ぶり。午後3時現在の光化学オキシダント濃度は城南区長尾で0・139ppm▽西区元岡で0・135ppmを記録した。
市内の小学校運動会は今月中旬から来月初旬が開催のピーク。同日午後に校庭で5~6年生約200人が運動会の練習を予定していた早良区の百道浜小では急きょ、練習場所を体育館に変更。市こども未来局は同日午後、173の全認可保育園と150の認可外保育園に野外活動をしないよう呼びかけた。
熊本県では8日午後4時過ぎ、天草市などの天草地域(2市1町)と宇城市などの宇城・上益城地域(2市7町)で光化学スモッグ注意報が発令された。苓北町立苓北中では部活動を中止した。
このほかに発令されたのは▽長崎県が長崎市、佐世保市、平戸市など10市8町▽佐賀県が唐津市や伊万里市、基山町など11市町▽鹿児島県が薩摩川内市など7市町。
北九州市立大国際環境工学部の河野智謙准教授(環境生物学)によると、光化学オキシダントは、自動車や工場の排ガスに含まれる窒素酸化物などが紫外線で光化学反応を起こして生成される。強い日差し、高温、風が弱いなどの条件下で濃度が高まると発生しやすくなり、目やのどの痛みなどを引き起こす。
福岡管区気象台によると、8日は福岡市で26・6度、佐世保市で27・1度を記録するなど各地で今年一番の暑さとなった。広範囲に広がった原因について、河野准教授は「日没後も高濃度であることを考えると、中国大陸などで発生した窒素酸化物が東シナ海上で光化学オキシダントに変わり、北北西の風に乗って広がったのでは」と分析している。【まとめ・三木陽介】
2009年5月9日