新型インフルエンザ対策で発熱外来や病床確保などの準備を進める自治体や病院の間で、国の対応に不満が強まっている。国内感染が拡大して病院が混乱する場合でも保険診療が原則とされる点を府は「非現実的で論外」と批判。国に特別な財政措置を求める声が強まりそうだ。【太田裕之】
府、京都市と両自治体が発熱外来設置を要請する25病院などで構成する「新型インフルエンザ対策医療機関連絡会議」が先月20日に開かれ、「対策に努力する病院が損をしないようにして」などの声が相次いでいた。
特に懸念されたのは、国内で拡大して多数の感染者が病院に殺到する場合だ。発熱外来は病院駐車場など建物外に設置される可能性があり、保険診療の会計手続きは通常と同じようにはできない。病院側も欠勤者が出て人手不足となる可能性が高く、会合では「軽症であれば無料でタミフルを渡すような対応ができないか」との声も上がった。
医師らが感染した場合の補償が不透明な点にも不満は強い。府は昨年6月に近畿ブロック知事会、同7月に全国知事会を通じて「十分な財政措置」「医療従事者への補償制度創設」などを国に求めているが、国の対応に変化はない。先月28日に府が病院関係者を集めた会合でも「財政手当が一切ない」と国への不満が続出したという。
府内では03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)や04年の鳥インフルエンザの経験から感染症対策への関心が高く、全国に比べても医療機関の協力が進んでいる。府は「病院にはボランティア的にお願いしているのが実情で、国にもきちんとした措置を求めたい」としている。
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毎日新聞 2009年5月9日 地方版