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パキスタン:記録映画になったマーイー
2006/10/17

【カラチIPS=ゾフィーン・エブラヒム、10月5日】

 マーイーが再びニュースになった。今回は「Shame(恥辱)」というタイトルの記録映画への登場である。映画はマーイーが村議会の命じた報復的懲罰で集団レイプされた体験を描いている。

 ムフタール・マーイーは、他の同様の仕打ちを受けた女性たちのように犠牲者の殻に閉じこもり、沈黙に逃げ込み、自殺することなく、世界に自らの体験を公表した。

 先月トロント国際映画祭で初公開されて以来、マーイーの悲惨な体験を描いた記録映画はテレビに取り上げられるなど話題を呼んでいる。マーイーは2002年6月に、社会的階層が上のマストイ族の娘に弟が性的暴行を行なったという嫌疑により、報復懲罰として集団レイプされた。だがマーイーは泣き寝入りせずに正義を求めて裁判所に訴えた。

 屈辱的な事件に一般市民も憤り、マーイーを支援した。最初の裁判で14人の男が訴えられ、そのうちの6人が有罪となり死刑判決を受けた。だが控訴審では5人が無罪で1人が無期懲役刑となる。マーイーはさらに最高裁に上訴し、現在最終判決を待っている。

 マーイーは各国の女性誌に登場し、活躍する女性として表彰され、自伝を出版し、国連で演説も行なった。活動で得た収益はパキスタンの女性の健康と安全のために利用し、村に学校も建設した。

 記録映画の監督、ムハンマド・ナクビはカナダ生まれで、これまでにイスラムをテーマにした3本の短編映画を発表している。ナクビはマーイーと共に仕事をして自分が成長したという。映画祭で「Shame」は大きな反響を呼び、ステージに登場したマーイーは総立ちの拍手で迎えられた。勇気をもらったとレイプ被害者からの手紙も届いた。

 人々の励ましを受けながらも、マーイーの心の傷が癒されることはない。自分が作った学校の子供たちに互いへの思いやりの気持ちが育ち、悲劇がなくなることを期待している。パキスタンの因習が生んだ悲劇を世界に訴える記録映画について報告する。(原文へ

翻訳/サマリー=加藤律子(Diplomatt)/IPS Japan浅霧勝浩

IPS関連ヘッドラインサマリー:
姦通罪で収監された女性に希望なし
ムクタハン・ビビの闘いは続く
人権侵害に対するアジアアメリカネットワーク
ウルドゥー語によるマーイーのブログ

(IPSJapan)

カラチIPS のゾフィーン・エブラヒムより、パキスタンの因習が生んだ悲劇を世界に訴える記録映画について報告したIPS記事(Yahooに転載)。(IPS Japan浅霧勝浩) 資料:Tronto International Film Festival
















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