ワシントン(CNN) アフガニスタン西部のファラ州で5日、駐留米軍による家屋への空爆で多数の住民らが殺害されたとする問題で、米国防総省高官は8日、最大で50人が死亡したとの事実を明らかにした。女性、子供や武装勢力の戦闘員が含まれるとしている。
2001年末の米英主導の軍事作戦で政権を追われたイスラム強硬派勢力タリバーンとみられる武装勢力が女性などを「人間の盾」として使っていたとも主張し、誤爆を打ち消した。空爆は8カ所の家屋を標的に実施、計13発の爆弾を投下した。現場はケシなどの栽培地で、米軍とアフガン軍が焼却作戦に携わっていたところ、家屋から発砲を受け、空爆を要請したとみられる。
アフガンでは遺体がすぐ埋葬されるため、空爆による正確な犠牲者を突き止めるのは困難ともしている。米軍とアフガン政府が詳しく調べている。一方、ワシントン滞在中のカルザイ・アフガン大統領はCNNの取材に対し、100人以上が死亡したとの報告を受けていると述べた。空爆は米軍が実施したとも明言し、犠牲者は最大で130人に達する可能性があると述べた。
その上で、「アフガンの村落や民家にテロはない。空爆でテロリストを打ち負かすことは出来ない」と米軍に民間人が巻き込まれて死亡する空爆の停止を要求した。オバマ大統領と会談した際もこの問題を取り上げ、オバマ氏は今回の民間人犠牲者について謝罪したとしている。アフガン政府当局は誤爆の可能性にも言及していた。
アフガンでは、米軍の誤爆が相次ぎ、住民の反米感情を煽っている。結婚式会場が標的となった例もある。
一方、アフガン駐留米軍当局者は、今回の空爆の事実は認めながら、タリバーンが、空爆の犠牲者と思い込ませるため住民を手りゅう弾で殺害した後、遺体を公開した疑いがあると語った。これによると、タリバーンはアフガン軍、米軍へ攻撃を仕掛けて、空爆要請をし向け、爆撃開始前に住民を殺害したとしている。タリバーンが3家族を連れ出し、手りゅう弾で殺したことを示す信用すべき諜報を得たとも述べていた。