2009年5月9日3時0分
新発売の地上デジタル放送用の録画機に「著作権料」は上乗せできません――。パナソニックがこう通告する文書を著作権管理団体に送っていたことが8日、わかった。衆院文部科学委員会で石井郁子氏(共産)が取り上げた。現行法にはメーカーの協力義務が明記されており、塩谷文部科学相は「問題がある」との認識を示した。東芝も著作権管理団体に同趣旨の考えを伝えている。
著作権料とは、DVDレコーダーなどデジタル録画機に賦課されている「補償金」のこと。メーカー側は、地デジの録画は「ダビング10」などで技術的にコピー制御がされているとして、補償金の対象でないと主張してきた。
しかし、現行の著作権法は補償金の対象について地デジの録画を外すとは規定しておらず、メーカーに補償金徴収への協力を義務づけている。現行法の規定に反し、メーカーが協力を拒む姿勢を明示したのは初。塩谷文科相の答弁も公の場で初めてメーカーを批判する内容となった。
補償金はメーカーが価格に上乗せして消費者から徴収。補償金の管理協会などを通じて、俳優ら権利者に支払っている。DVDレコーダーでは1台あたり数百円程度。
パナソニックは4月8日付の文書で、同月下旬に発売した地デジ専用の新機種について「補償金の徴収に協力できないことを、ここにご通知申し上げます」と協会に告げた。
パナソニック広報グループは「支払い対象の機器かどうか疑いがある。メーカーの判断だけで、消費者からの徴収に協力することはできない」と話した。(赤田康和)