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奨学金の返還猶予、4万人から10万人に拡大 文科省

2009年5月8日3時2分

 不況で失業するなどし、学生時代に受けていた日本学生支援機構(旧日本育英会)の奨学金返還が困難になった人たちのため、文部科学省は、機構が返還を猶予できる人数を現行の約4万人から10万人に増やす。また、親の失業などで急に家計が悪化した在学生のために、年度途中でいつでも申請できる無利子奨学金の貸与人数も、現行の倍の8千人に増やす。

 機構の今年度の奨学金貸与者数は大学生、短大生ら計約115万人で、貸与総額は9475億円。奨学金は無利子と有利子があり、文科省も財源の一部を出している。

 卒業などで貸与が終わると返還義務が生じるが、病気や災害のほか、失業、低所得などの経済的理由から返還が猶予されることもある。文科省によると、経済的理由による返還猶予(最長5年)を認められた人は07年度でのべ約4万人いた。08年度実績もほぼ同じ規模となる見通しだ。

 昨秋からの急激な景気悪化で文科省は「返還困難になる人は、さらに増えるはず。セーフティーネットが必要だ」と判断。機構への貸付金10億円を今年度補正予算案に盛り込み、機構が10万人まで猶予できるようにする。

 機構の奨学金は、入学前に申請する「予約採用」と、入学後に申請する「定期採用」が大半を占める。このほかに保護者らが急に失業した場合を考慮し、年度途中で随時申請できる無利子の「緊急採用」、有利子の「応急採用」がある。昨年度は、さらに「臨時採用」を急きょ新設した。

 文科省は、今年度も随時申請できる奨学金の需要が高いと想定。特に「緊急採用」は税金を原資としており、今回の補正予算案に15億円を計上し、機構の貸与人数を4千人から8千人に拡大する。(青池学)

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