文部科学省は、全国約1200の国公私立大・短大すべてを対象に、授業料の滞納状況や経済的な理由で中退した学生数を聞く緊急調査を始めた。昨年来の経済情勢の厳しさをふまえ、文科省は学費を払えず学業断念に追い込まれた学生や、その懸念がある学生が増えている可能性があるとみている。
支援策を考えるうえで、まず実態把握が必要だと判断した。調査では、授業料滞納者数と中退者数、中退の理由を聞くほか、奨学金など学生を支援する各種制度がきちんと学生に知らされているか、大学側の対応も尋ねている。現在、大学から回答を集計中。
すでに回答した大学では、意外な結果も出ている。
法政大は中退者合計が07年度381人、経済情勢が急速に悪化した08年度は249人だった。うち経済的な理由での中退は、07年度の33人から08年度には13人に減った。担当者は「増加傾向にあると思っていたが逆だった」。学費滞納者数も昨年3月末108人、今年3月末106人と横ばいだった。
早大も同傾向で、08年度の中退者総数と経済的理由による中退者数は、いずれも07年度より少なかった。広報課は「奨学金制度の効果かもしれないが、理由ははっきりしない」という。(青池学)
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