2007年07月31日

ディズニーランドでの集団万引報道を受けて

大阪府高石市の市立中学校3年の男子生徒15人が今年5月末、修学旅行先のテーマパーク「東京ディズニーランド」(千葉県浦安市)のキャラクターグッズなどを扱う店で集団万引をしていたことが30日、分かった。修学旅行に参加した生徒の約1割にあたり、学校側は「来年の修学旅行の実施は中止を含め検討したい」としている。
<8月31日 産経新聞から引用>

ディズニーランドで万引きの「取調べ」を行ってきた「経験者」が書いています。そのことをまず申し上げておきます。

TDLにおいても一般のショッピングセンター同様に「警備員」が店舗を巡回しています。この報道のように学生による万引が発生しているのは事実ではありますが、それは今に始まったことではなく、開園当初から続いていることです。

この報道によると「3グループ、15人による集団万引」とありますが、TDLの「警備員」が発見した万引行為は2件(2人)だけであり、その他は宿泊先のホテルにおける学校側の調査で発覚したものです。
TDL側はこの2件の万引行為に対し、過去の学生による万引行為同様に規定に基づいた対応をした、それだけのことなのです。

つまり、この件は大騒ぎするほど特別なものではないということです。報道に煽られることなく冷静に受け止めていただきたいと思います。
問題点がいくつかありますので整理してみます。

1、集団万引ではなくても厳しい対応
確かに今回発覚したケースは「集団」と言ってもよいのかもしれませんが、同じ学校で複数の万引行為が確認されることは「あること」です。
その上、たとえ同じ学校で4人の万引が確認されたとしても、他の生徒が全く万引をしていないか、集団での行為ではないのかなど、調査のしようがないのが実情です。これはTDLに限ったことではありません。

したがって、TDLでは集団であろうがなかろうが、犯罪行為である万引に対しては常に厳しい姿勢で臨んでいるというのが「事実」です。

2、学校への通報について
報道によると学校側は「TDL側から連絡を受けた」とりありますが、事実かどうかは分かりません。マスメディアからTDL側に「事実か」と尋ねてもTDL側はイエスともノーとも答えないのではないかと思われます。

また、「ディズニーランドは警察に被害届を出さず、生徒に対しては反省文を書かせるなどをしただけだった」と書かれていますが、この報道は誤解を受けると筆者は考えます。

対応処置について経験上言えることは、「窃盗容疑で警察に引き渡すこともある、反省文を書かせることもある、このほかの処置を行うこともある」ということであり、これ以上の詳細は申し上げられません。
ご理解頂きたいのは「TDLは万引をしても警察に被害届けを出さない」は間違いであるということです。

3、万引した生徒への教育的指導
万引した生徒が「悪いことをした」ことを反省し、二度とこのようなことをしないと約束するまでは帰しません。学生の場合、万引した理由は「軽い出来心」であることが多いのですが、それでも万引は犯罪であり、「心を入れ替えるくらい」反省することを求めます。

これは推察ですが、今回のケースは、「TDL側から連絡を受けた」のではなく、反省した生徒が先生に伝えたことが発端になっているのではないでしょうか。であるからこそ、あとの13人は自ら自己申告したということも、性善説に基づけば考えられないことではないでしょう。

ここで言いたいことはこういうことです。
◇TDLの「取調べ担当者」は未成年の学生の場合、TDL側の被害よりも学生の将来を考えます。
◇「罪を憎んで人を憎まず」です。やってしまったことは悪いことですが、「悪い人間」とは考えません。
以降TDLへの出入りを禁止することなどあり得ません。

4、修学旅行の中止について
開園当初は学生服での来園が多く、パーク内で学校同士の集団的な喧嘩が発生しました。高校野球の名門校である○○高校は、2〜3?年連続で喧嘩騒ぎを起こしたと記憶しています。

それでも、TDLは「来年はこないでください」などとは決して言いません。もちろんTDL側から「パーク内での遵守事項」について再確認させてもらうことはありますが、来園を拒否することなどあり得ません。

TDLでは集団でこられても、パーク内では一人ひとりが「別々な顔と名前と考え」を持った個人として応対しています。集団でこられても一人ひとりを、招待状をだした「VIP」と思い、最高のサービスを提供しようと考えているのです。

ですから、たとえ同じ学生服を着ていてもパーク内では決して「集団」とは考えないのです。

誤解を恐れずに言えば、ディズニー・テーマパークはファミリー・エンターテイメントの世界であり、「集団行動」や「集団思想」は迷惑なのです。
(集団での来園を迷惑と言っているのではありません)

学校関係者にお願いです。修学旅行の中止など考えないでください。今回の件は来年の3年生には関係のないことであり、楽しみにしている生徒たちを決して悲しませるような決定をなされないよう切望いたします。

5、この万引ニュースの特質
この報道は「ディズニーランド」「集団万引」「修学旅行の中止」という3つの要素が重なったために、ニュースとしての「価値」が高まっています。修学旅行中に立ち寄ったお土産屋で数人の万引が発覚しても決してニュースにはなりません。ニュースとはそういうものなのです。
同じ犯罪行為には同じ「罰」が原則です。この学校が、全国的な「見せしめ」「つるし上げ」に会わないよう願うばかりです。

6、この報道がなされたことにより特に気をつけなくてはいけないこと
最後になりましたが、このことが最も大切なことです。まだ中学生です。もちろん犯罪行為を可とするつもりはありませんが、生徒たちのことを第一に考えていただきたいのです。

必要以上に生徒たちを追い詰める必要はまったくありません。将来のある子どもたちです。ここは大人しく見守ってあげたい・・・ディズニーランド出身者である筆者はそう願って止みません。

最後に
ディズニーランドは夢の国です。このような舞台裏の情報は隠しておきたいのですが、マスメディアは自分たちが報道したいことしか報道しませんので経験上かけることだけを書きました。

マスメディアのねらいは「いかに読んでもらうか、見てもらうか」であり、真実の追究ではありません。
口コミを含め、このTDLの万引問題の憶測の情報が流されることを少しでも防止したい、そう思いこの記事を掲載しました。

この記事が、ディズニーランドの万引問題に関する「解説書」になり、今後の正しい報道に役立てば望外の幸せです。