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「攻めの農業」実習生に依存―在日華人第4部・列島街村(3/4ページ)

2009年5月5日2時33分

 365日24時間コンビニ弁当を製造するプリムイソベン(名古屋市)は昨年から20代の中国人研修生を受け入れ始めた。工場のある浜松市では時給が比較的高い工場が多く、派遣社員はそちらに流れ、人手が足りなかったからだ。研修生受け入れ枠は社員数に応じて決まり、この会社では最大10人。「もっと入れられるならそうしたい」と担当の香ノ木謙二部長は語る。

 ネギトロなどを生産する大島水産(宮城県気仙沼市)の大島忠俊社長も「不景気でも、うちのような仕事には若い日本人は来ないし、そもそも地方にはいない。研修・実習生は確実に仕事をしてくれるので助かる」と話す。

 日本にいる研修・実習生は約20万人。約7割が中国人とされる。外国人の単純労働を認めない日本で、産業を支える存在になっている。

■賃金未払い1100万円

 一方、雇用主と研修・実習生とのトラブルも多い。

 昨年8月22日、山梨県で事件が起きた。

 午前7時すぎ、中国人実習生の張愛霞(チャン・アイ・シア)さん(38)ら女性6人のいる社員寮に15人ほどの男性が押しかけてきた。勤務先のクリーニング会社の社長らだ。むりやりマイクロバスに押し込まれ、空港に連行されそうになったという。

 張さんらは05年12月に来日した。基本給月5万円、時間外は時給350円で午前8時半から翌午前0時近くまで働いた。日本人社員と比べあまりにも安い賃金に疑問をもち、2日前に社長に改善を求めたばかりだった。

 バスが赤信号で止まったすきに、張さんらは窓から飛び出した。段艶紅(トワン・イエン・ホン)さん(31)と胡菊花(フー・チュイ・ホワ)さん(36)は外で一晩を明かした。張さんによると、歩いて社員寮に戻った後には寮の周りには見張りが立ち、「軟禁状態」になったという。張さんは翌23日夜に2階の窓から飛び降りて逃げ、左足首を骨折。寮に残った3人は帰国させられたという。

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