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「攻めの農業」実習生に依存―在日華人第4部・列島街村(2/4ページ)

2009年5月5日2時33分

 研修生受け入れ窓口の組合関係者は「いまは法律を無視した形だが、売り上げが1億円になれば農業経営として成り立ち、正規の残業代を払えるようになる」と「攻めの農業」を後押しする。中国人研修生らの存在は、日本の農業のあり様をも変えようとしている。

 その後、自宅近くのスーパーで、形のそろったホウレンソウを見た。1束198円。劉さんらの顔が浮かんだ。

■逃げ込む―工場にも実習生 雇い主と紛争も

 農業研修・実習生が全国一多い茨城県。JA茨城旭村(鉾田市)は09年1月現在、計248人の中国人を受け入れている。ここも彼らを活用して農業形態が変わった。

 以前はメロン栽培が中心だった。今は、人手があれば年5、6回の収穫が可能な水菜や春菊などに切り替える農家が目立ち、所得が増えた。研修・実習生という労働力をあてにできるようになったからだ。JA旭村の約500戸の年間売り上げは約80億円だが、うち約30億円は研修生のいる約100戸が担う。「中国人研修・実習生がいなければここの農業は成り立たない」と坂田薫組合長は話す。

 大規模なレタス農家が多い長野県川上村は人口約4700人。今年は約700人の中国人研修生が4月から約半年滞在する。かつてはアルバイトに来ていた日本人学生が集まらない。最近は日本人が来たとしても、仕事がきつくて朝いなくなっていることが多いという。

 中国人研修・実習生の存在が欠かせなくなっているのは、農業だけではない。

 自動車部品を製造するオリエントテクノ(山形県寒河江市)は中国人研修生を毎年10人入れている。大手メーカーに比べて賃金が安いため、日本人の若者が来ない。主力の主婦層も子どもや家の用事で早退や遅刻があるなど雇いにくい面がある。「研修生は残業できないが、休まないから生産計画通りに実績が出る」と奥山広明常務。

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