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「攻めの農業」実習生に依存―在日華人第4部・列島街村(1/4ページ)

2009年5月5日2時33分

 「コレ、オオキイ。ダメネ」。中国人実習生の女性、劉紅(リウホン)さん(31)=仮名=が、30センチ以上に伸びたホウレンソウの葉を取り除いた。大きすぎると規格外になり、値段が下がる。来日3年目。品質管理に厳しい日本農業にしっかり適応している。

 中国人研修・実習生を4人受け入れる東日本のある農家で4月の8日間、一緒に農作業を体験した。午前6時に作業開始。4人は私の倍以上の速さで刈り続けた。午後6時まで収穫し、すぐに袋詰め。差し入れのおにぎりをほおばっただけで、午後10時まで続けた。計108箱ができた。

 4人は、「国際貢献」を目的とする外国人研修・技能実習制度で来日した。1年目は研修生で、労働者とは見なされない。2、3年目は労働者として扱われる実習生だ。

 研修生は手当として月6万円、実習生は最低賃金を守った基本給から社会保険料などを引いた月7万円を受け取る。最低賃金は地域差はあるが、時給700円前後だ。

 問題は残業だ。制度上、残業は禁止の研修生が1時間300円で、時給の1.25倍払う必要がある実習生も1時間350円で残業する。

 だが、劉さんらは「来日前に聞いていた条件だから不満はない。もっと残業したい」と言う。生活費は月1万円程度に抑え、3年で300万円をためるのが目標だ。中国での年収の10倍以上になる。

 全国で農業に従事する中国人研修・実習生は1万人を超える。「安く、安定した労働力」は欠かせない存在だ。

 それだけではない。この農家は、彼らを活用して規模拡大に打って出た。以前は果物が中心だったが、年に5、6回収穫できるホウレンソウに転換。この5年で耕作面積を2倍に広げた。売り上げは3倍、所得は2倍になった。農家から「農業経営者」に変身しつつある。

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