【カトマンズ、ビナヤ・グルアチャリャ】ネパールのプラチャンダ首相は4日、「民主主義と平和のため辞任を決めた」と発表、ヤダブ大統領へ辞表を提出し、受理された。プラチャンダ氏は3日、最大与党「ネパール共産党毛沢東主義派」(毛派)民兵の国軍編入に反対するカタワル陸軍参謀長を解任したが、他の連立与党が反発。大統領も解任を取り消すなどプラチャンダ氏への批判が高まっていた。毛派主導の連立政権は発足から1年で崩壊の危機に直面し、毛派を除く各党は新政権樹立に向け水面下で協議を始めた。
プラチャンダ氏の辞任に伴い、ヤダブ大統領は新首相を任命する。毛派が民兵組織の国軍編入にこだわれば、大統領は第2党のネパール会議派など他の政党から首相を任命する可能性が高い。その場合、毛派の連立政権離脱は確実だ。
毛派は大統領による参謀長の解任撤回を受け、4日朝から緊急幹部会で対応を協議。関係者によると、一部幹部の間から「毛派は(08年4月の)総選挙前から民兵組織の国軍編入を求め、第1党になった。議会を解散し民意を問うべきだ」との意見も出たという。
ただ、毛派側は参謀長の解任決定によって軍部から反発を買っており、プラチャンダ氏の辞任で軍との全面衝突を避けたとの見方もある。
プラチャンダ氏は昨年5月、王制から共和制に移行した新生ネパールの初代首相に選出された。
毎日新聞 2009年5月4日 20時55分(最終更新 5月5日 1時10分)