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憲法記念日
- 2009/05/03
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社会保障の抜本改革を
貧困、格差、派遣切り…。かつてない経済危機、社会不安の中で憲法記念日を迎えた。憲法は、人類が幾多の危機を乗り越え、よりよい社会をつくろうとしてきた努力の結晶である。今こそ、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とした生存権(二五条)や、勤労の権利(二七条)、労働基本権(二八条)など、日本国憲法が定める社会権の意義を再確認し、社会保障制度の立て直しを進めたい。
ブームになった小林多喜二の小説「蟹工船」に見られる通り、二十世紀前半までの労働現場では、むきだしの資本主義が労働者を苦しめ、命さえも奪っていた。人間の尊厳を問う激しい闘いが続いた。
そうした労働者の闘い、大恐慌や第二次大戦の経験によって、資本主義の持続には人権の尊重と、豊かな消費者、労働者の存在が不可欠であることが確認された。戦後の西側社会は憲法に社会権を規定し、福祉国家建設へと進んだ。豊かな社会の実現はその果実である。
その後、福祉国家の“行き過ぎ”を是正するものとして、「新自由主義」が英国などで力を得た。しかし、日本ではそもそも行き過ぎるほどの福祉国家を建設できていなかったのが実態だ。小泉改革など新自由主義的政策は、結果的に時代の針を戻すような取り組みとなった。セーフティーネットが不完全なまま経済危機に襲われ、「貧困」が深刻化している。
今年は総選挙が行われる。年金、生活保護など社会保障制度の抜本的改革が問われている。とりわけ大きな課題は、正規・非正規の枠を超えた新たな雇用制度の創造であろう。
ワーキングプア(働く貧困層)をなくし、ワークシェアリング、労働時間短縮による生活の質の向上を実現するには、対症療法ではない抜本的な雇用改革が必要だ。欧州では、政府、経済界、労働組合が合意してつくった「オランダ・モデル」「デンマーク・モデル」などの事例もある。国情の相違はあるものの、参考にすべき点は多い。各政党は英知を結集し、国民に具体案を示してほしい。
将来への安心を確保しなければ、内需の拡大も、少子化に歯止めをかけることも望めない。憲法が規定する社会権を現実化し、真の福祉国家を建設することが求められている。