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首相「全面禁止」表明も…民主、隠された「渡り」追及

 麻生太郎首相は29日の衆院本会議で、自らの在任中は国家公務員OBが天下りを繰り返す「渡り」のあっせんを全面的に禁止する考えを表明した。政府・与党内には「これで『渡り』問題は一件落着だ」(自民党幹部)との声が強いが、民主党は隠された「渡り」が官僚によって行われているとして、実体解明に乗り出した。国民の資産をむさぼり尽くす“役人天国”の牙城を崩せるのか。

 「国民からの厳しい批判や国会における議論を踏まえ、今後、申請が出てきた場合でも認める考えはない」

 首相は29日、自民党の細田博之幹事長の代表質問にこう答え、これまでの「原則禁止」の方針を転換した。ただ、法律で定められた範囲で「渡り」を容認した政令は撤廃しないとしており、政令撤廃を含めた全面禁止を主張する民主党の攻撃は収まりそうにない。

 実際、100年に一度の経済危機に国民が苦しむ中、公務員だけが特別扱いを受けることに批判が集中している。例えば、「消えた年金」問題を引き起こした元社会保険庁長官M氏のケース。

 M氏は東大法学部卒業後、厚生省に入省したキャリア官僚で、1985年から86年まで社会保険庁長官を務め、退官後、「渡り」を繰り返した。民主党の細野豪志議員は2007年6月の衆院内閣委員会で、M氏の退官後の報酬と退職金の合計を2億9000万円以上と推計した。

 こうした問題を追及する民主党「渡り」調査チームは、仙谷由人座長のもと、長妻昭、枝野幸男、川内博史、馬淵澄夫、細野各衆院議員ら、疑惑追及のエース級がズラリと並ぶ。29日夕も官僚側からヒアリングを行った。

 その際、各省庁のデータをまとめた総務省の担当者は27日までの判明分として、04−07年に「天下り」をさす1回目の再就職あっせんが1637件、「渡り」をさす2回目以降のあっせんが32件だったと報告した。

 これに対し、調査チームは「あっせんを承認しなくても、天下りはローテーションで行われている」(仙谷氏)と指摘し、隠された「渡り」の実態について追及した。

 川内氏が「1637人の前任者がどこに行ったかも出してほしい。そうすれば『渡り』のルートが解明できる」と語ると、担当者は「民間人なので調査権限がない」。

 仙谷氏が「個人名はともかく、どの役職の人がどういう天下りをしたのか資料を出してほしい」というと、「個人情報保護法の関係がある。できません」と拒否した。

 堪忍袋の緒が切れた枝野氏が「それはウソだ。そんな条文があるなら持ってこい。与党とも『個人名を出したうえで、扱いは道義的に考える』と合意している」と迫ると、ようやく担当者は「首相に持っていく」と応じたのだ。

 調査チームの1人は「隠された『渡り』は膨大にある。官僚は資料提出を予算成立後まで引き延ばそうとするだろうが許されない。首相は『渡りのあっせん』を禁止したが、渡りの実態を解明すれば、『渡りの全面禁止』をしなければ役人天国が残ってしまうことが分かるはず」と話した。

ZAKZAK 2009/01/30

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