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憲法記念日 理念と現実、広がる格差(1/3ページ)

2009年5月3日5時0分

 かつてその存在さえも「憲法9条違反」と非難された自衛隊で、隊員たちは相次ぐ海外派遣をどう思うのか。見えない明日に不安を抱える人々は、「最低限度の生活」を保障した25条をどんな気持ちで読むのか。戦後の混乱の中で、平和と人間の尊厳をうたいあげた憲法をいま、どう生かすかが問われている。

■9条「戦争放棄」 海外派遣、海賊まで相手に

 愛知県の航空自衛隊小牧基地。5年におよぶイラク派遣で、同基地のC130輸送機の部隊はクウェートとの空輸活動を担った。

 若い隊員にたずねた。「淡々と粛々と任務をこなした」。海外派遣については「どうこう言う立場にない」。

 対照的にベテランの隊員は感慨深げだ。入隊したころは海外派遣など考えもしなかった。「『何もしていない』と言われた我々が、犠牲もなく任務を果たした。実績以上に、隊員の心に与えた充実感は大きい」

 ある陸上自衛隊員は「『普通の国』になってきているのだと思う」。9条改正に踏み込まなくても、特措法でインド洋、イラクへ派遣、ソマリア沖へは現行法で派遣、と活動の舞台を広げてきた。

 武器使用基準も、これまでの派遣は基本的に正当防衛、緊急避難の枠内だったが、ソマリア沖の海賊対策のため衆院を通過した海賊対処法案では、停船命令に応じない船舶への船体射撃が可能になるなど任務遂行のための武器使用基準が盛り込まれた。「『義務』を果たすために必要な『権利』を手に入れ始めた」

 90年から2年間、陸上幕僚長を務めた志摩篤さん(74)は、こうした「沈黙」に懸念を抱いている。

 「これまでの派遣が、一線の努力で大過なく終わったことで、むしろ国民の関心が薄れている」。陸幕長のとき湾岸戦争が始まった。国会は国連の活動への自衛隊派遣でもめ、ようやく掃海艇がペルシャ湾に派遣された。「かつての論議がうそのようだ」

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