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人種差別撤廃会議:イスラエル批判めぐり西側諸国が退席

 【ジュネーブ澤田克己】南アフリカで01年に開かれた世界人種差別撤廃会議の再検討会議が20日、国連欧州本部で始まった。人種や宗教などによる差別との決別をめざす会議だが、イスラエル非難を含んだ文書の採択に反対する欧米先進国など9カ国がボイコット。さらにイランのアフマディネジャド大統領が演説でイスラエルを批判し、西側諸国が途中退席するなど波乱の幕開けとなった。

 会期は24日までで、今後の取り組みなどをまとめた「成果文書」を最終日に採択する。

 事前調整が行われた文書案には当初、イスラム諸国の要求で、イスラエル非難や「宗教への中傷」禁止という条項が入っていた。このため、イスラエルとカナダ、イタリアが早期に不参加を表明。米国も準備作業から撤退していたが、オバマ政権発足後の2月に「納得できる文書になるなら参加する」と姿勢を軟化させた。

 その後、イスラエルによるパレスチナ占領を「国際人道法違反だ」と断じる条項など、直接的なイスラエル非難は削除されたものの、今月17日にまとまった最終案には、間接的なイスラエル批判と宗教差別を「誘発する」言論への法規制という条項が残った。

 国連のピレイ人権高等弁務官は「イスラム諸国側が譲歩した」と評価したが、米国は18日、イスラエル批判と言論規制の入った文書案は受け入れられないとボイコットを宣言。ドイツやオランダ、ポーランド、オーストラリア、ニュージーランドも不参加を決めた。

 初日の会議では、国家元首として唯一出席したイランのアフマディネジャド大統領が演説し、イスラエルを「占領地に設立された人種差別的な政府」と非難。これに抗議して出席していたベルギーやフランスなど欧州諸国の外交官が演説途中で一斉に退席し、男性が演壇に向かって物を投げつけるハプニングも起きた。

 01年の会議では、アラブ諸国のイスラエル非難に抗議して米国とイスラエルが途中で代表団を引き揚げた後、事実上のイスラエル非難を盛り込んだ「ダーバン宣言」が採択された。日本は、01年と今回の両方の会議に参加している。

毎日新聞 2009年4月20日 19時43分(最終更新 4月21日 12時41分)

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