2009年05月02日

「最後のパレード」回収に関して

 

 

思いやりの大切さを書いた本ではありましたが、読売新聞などの関係者にディズニーファンや著者、出版社を思いやる気持ちが少しでもあれば、このような事態になることはなかったものと考えます。

 

私がこの本で伝えたかったことは思いやりの気持ちの大切さです。

http://gpscompany.blogdehp.ne.jp/article/13444273.html

 

ですから、エピソードの選定は思いやりの気持ちを育むものを中心に選びました。サンクチュアリ出版様と当社で長きに渡って集めたエピソードに私はすべて目を通し、信用できるエピソードであるのかを、一つ一つ丁寧に検証しました。

 

サンクチュアリ出版様が集めたエピソードの中には「障害をお持ちのゲストを背負ってビックサンダー・マウンテンに乗せた」というものもありました。

 

サンクチュアリ出版の編集担当者は、このエピソードを載せたいと許可を求めてきましたが、私は「マニュアル違反であり、絶対にあり得ないこと」と許可しませんでした。

 

シンデレラ城ミステリーツアーのエピソードも、キャストとゲストの会話内容もかなり変更しました。キャストが言わない言葉が含まれていたからです。

 

サイン帳を無くしたエピソードも不自然な所はカットしました。例えば「キャストが自費でサイン帳を購入した」という一文もありました。これも、考えられない手順です。

 

両手が無いゲストがビックサンダー・マウンテンに乗れなかったというエピソードでは、私も「この対応は間違っている」と反省し、オリエンタルランドの担当者に今もこの手順なのかを尋ねました。すると、私が退職後にコメントに著したような手順に変更されていました。そして、その子を探してほしい、というメッセージを記しました。

 

私は、東京ディズニーランドで唯一人の「グランドスラムを達成したスーパーバイザー」と称されていました。なぜならば、すべてのアトラクションエリアとすべてのゲストサービス施設のスーパーバイザーを経験したからです。

 

したがって、エピソードの信憑性の判定には自信を持っていました。「このようなエピソードは五万とある」「このエピソードは掲載しない方が無難である」と判断することは私には容易なことでした。

 

読売新聞が盗作と問題にした「キャラクターがゲストを励ます」エピソードも、ドナルドが当り前に行った「仕事」でした。

 

(ドナルドダックの身長を考えてみてください。ドナルドが障害をお持ちのゲストを励ますのには、そのような意味もあるのです。 )

 

私は、ディズニーランドにはたくさんの障害をお持ちの方が働いている事実を知っています。それだけに、読売新聞が盗作と疑ったこのエピソードは100%入れたい、そう思い採用したものなのです。

 

2007年の障害者週間に天皇、皇后両陛下は、オリエンタルランドの子会社をご訪問されました。

 

天皇、皇后両陛下がご訪問されたご様子はこちらから

http://www.olc.co.jp/news_parts/20071221_01.pdf

 

両陛下から、障害をお持ちの従業員に対して「がんばってください」など、多くの励ましのお言葉を頂戴いたしましたこともあり、「最後のパレード」では、障害をお持ちのゲストとの交流の話を数多く採用致しました。

 

サンクチュアリ出版様にも読売新聞による今回の盗作疑惑報道がなされた後、この本には両陛下のご訪問の件が関わっていることと、ドナルドなどのキャラクターやアンバサダーが、ディズニーランドに来園できない障がい者の施設などを25年間慰問し続けている事実を伝えました。

 

著作権者へも世間へも、私たちが両陛下の障がい者に対するお気持ちと同様な気持ちを伝えれば、間違いなく分かって頂ける、ディズニーランドでは「サービスの復旧」と言いますが、例え手続き上のミスがあったとしてもきっと許していただける、私はそう信じていました。

 

サンクチュアリ出版様との出版契約には、日本ユニセフへ総売り上げの3%を寄付することになっています。それでも私は、この本の印税収入から、私にしかできない「障がい者木工」の普及などに寄付等を惜しまないつもりでした。

 

(手前みそになりますが、東京都唯一の国宝である東村山市の正福寺の地蔵祭りも、私が知的障がい者施設への木工指導を行わなければ開催することはできませんでした。)

http://www.shoukoukai.or.jp/profile/jizoumaturi.html

 

このように、「最後のパレード」という書籍は、私が障害をお持ちの価値ある方々と深く関わってきたことにより誕生した本なのです。

障害をお持ちの方々のためにも、天皇、皇后両陛下を悲しませる結果になることだけは避けなければいけないと考えます。

これからも世間のバッシングに負けないよう説明責任を果たしていきます。

 

 ここまで記してきたように、この本は、私が直接知っているエピソード、ディズニーランド時代の友人等から聞いたエピソード、そして、インターネット上のサイトで見つけたエピソードなどを紹介し、読者に「なるほど、そういうことだったのか」と分かってもらえるよう、個々のエピソード後に「スーパーバイザーとしての私の解説」を入れたものです。

 

科学の「科」とは、本来「分ける」ということです。分けて考えると真実が分かります。

 

誰かがしたためてくださった個々のエピソードと、私が責任をもって書いたコメントを分けて考えれば、私がオリジナルを創作した人間(盗作者)ではないこと(つまり、この事件の真実)を、読売新聞新聞の記者や読者の方に、容易に理解していただけるものと確信しています。