全国の社会保険、厚生年金病院の整理・売却方針を受けて1日、能代市緑町にある秋田社会保険病院(柘植俊夫院長・病床数167)の公的存続を訴える市民団体が署名活動を始めた。6月20日には市文化会館で市民集会も計画されている。
同病院は終戦直後の45年12月、健康保険民生病院として開院。内科、外科、婦人科など8科に1日約540人の外来患者があり、能代山本地区の中核病院の一つとなっている。
国は同病院を含む全国の社会保険病院53カ所、厚生年金病院10カ所を整理・売却する方針を打ち出した。このため今年2月、市民や病院関係者が市民団体「同病院を公的に存続・拡充させる会(守る会)」(芳賀藤雄会長)を結成。厚生労働省に存続を要請するとともに、市と三種、八峰、藤里の3町、青森県深浦町、能代市山本郡医師会などと協力、市民医療フォーラムを開き存続を訴えてきた。
同病院正面入り口での署名には1日午前中だけで500人を超える市民らが応じ、関心の高さをうかがわせた。用紙は市広報や自治会を通じても配布され、6月下旬まで署名を集める予定。斉藤滋宣市長が市民団体、病院関係者とともに署名簿を手に国に存続を要請する。
6月20日の市民集会では、丸山和彦・守る会全国連絡センター代表の講演や医療、行政、市民それぞれが意見を述べるシンポジウムがある。守る会の船越俊幸幹事は「病院がなくなれば地域医療の崩壊を招く。署名活動や集会を通じて地域の切実な声をアピールしていきたい」と話している。【田村彦志】
毎日新聞 2009年5月2日 地方版