現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 社会
  4. その他・話題
  5. 記事

「滞納者は卒業不可」 私立高7割が方針 私教連調査

2009年5月1日3時1分

 全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)が、組合員がいる全国の私立高校に調査したところ、学費を納めない限り卒業させない方針の学校が7割近くあることが30日わかった。こうした学校は「卒業証書を渡さない」「進路に必要な卒業証明書を発行しない」といった姿勢で臨んでいるという。

 学校教育法施行規則は「校長が全課程を修了したと認めた者には卒業証書を授与しなければならない」と定めており、文部科学省は「修了しているのに学費滞納だけを理由に卒業証書を出さないのは法令に違反する」と指摘する。ただし、罰則はなく、同省は「最善の配慮と対応を求めたい」としている。

 全国私教連によると、調査は3月末、組合員が勤務する580校(全私立高の44%)に実施。学費未納と卒業認定の関係についての質問には229校が回答した。

 それによると、「卒業式には出席させ、学費納入後に証書を渡す」が77校、「式に出席させず、納入後に証書を渡す」が69校。さらに厳しく「除籍する」「留年させる」という学校も6校ずつあり、学費未納を解決しない限り卒業させないという学校は合わせて158校、約69%に及んだ。卒業を認め、学費は後払いでよいとする回答は42校(18.3%)にとどまった。

 こうした状況に対し、全国私教連は「多くの学校が私学助成の抑制や削減で厳しい状況に直面している。公的な授業料助成が抜本的に拡充されることが必要だ」という見解だ。久保田武・日本教育大学院大特任教授(学校経営論)は「本当に払えない生徒を救う手だては必要だ。寄付を募って学費貸与の基金を設けるなどの努力を学校側に求めたい」と話す。(上野創、宮本茂頼)

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内