埼玉県が第2種感染症指定医療機関に指定している東松山市立市民病院が、新型インフルエンザ対策として県が要請した「発熱外来」の設置を断っていたことが30日、分かった。理由は医師不足という。
発熱外来は厚生労働省が策定した行動計画に基づいて設置される。新型インフルエンザの疑いのある患者と一般患者を隔離して診断することで、感染拡大の危険性を下げることが目的。県は28日から県内の医療機関10カ所に要請し、9カ所から承諾を得た。
同病院によると、常勤医数は現在、ピーク時の31人から14人に半減。夜間救急医療も07年秋から中止している。一方で、感染症病床は維持している。河村俊明内科部長は「発熱外来は特別な消毒や専門スタッフも必要。この状況では難しい」と話す。県疾病対策課も「全体の中でインフルエンザ対策に協力してほしい」と理解を示す。
しかし、同省新型インフルエンザ対策推進室の高山義浩室長補佐は「発熱外来の病院数が少ない感染拡大期は患者が1日に何十人も押し寄せることはない。夜間救急はしていなくても、当直医師などで十分対応できるのではないか」と指摘している。【岸本悠】
毎日新聞 2009年4月30日 21時28分