バグダッド(CNN) イラク国営テレビによると、同国中部ワシト州で26日、米軍が民家への急襲作戦を実施し、男女2人が死亡した。これに対し、マリキ首相は「地位協定への違反」として強く非難している。
米軍によれば、作戦は同州クートで実施された。イランから資金援助や訓練を受けるシーア派武装組織のメンバーとみられる6人を拘束したという。
今年1月から施行されている米イラク地位協定には、米国が軍事作戦を実行する場合はイラク側との合意が必要との規定がある。マリキ首相は、今回の作戦がこれに違反する「犯罪」だと非難。オディエルノ駐留米軍司令官に対し、拘束者の釈放と、作戦を実行した米部隊の引き渡しを要求している。同首相が米軍の地位協定違反を主張するのは、これが初めて。
イラク内務省当局者がCNNに語ったところによると、米軍が急襲したのは部族指導者の自宅で、指導者の妻ときょうだいが死亡、家族らが拘束されたという。州当局の高官は国営テレビとのインタビューで、「冷血な殺人だ」と米軍を非難した。国営テレビによると、イラク国防省はクート市内で、米軍の作戦実行を認めたとされるイラク軍司令官2人の逮捕を命じた。
一方米軍は、作戦が「イラク政府の全面的な承認を得ていた」と主張する。米軍側の説明によれば、部隊が近づいたところで民家から武器を持った男性が出てきたため、敵対者と判断して発砲した。女性は銃弾をさえぎるように飛び込んできたという。