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【社会】

皇居お堀 浄化作戦 雨水と分離 汚水排除

2009年4月6日 夕刊

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 皇居の堀の水をきれいにするため、東京都は、周辺の下水道の改善に着手する。雨天時に汚水と雨水が一緒に堀に流れ込むため、隅田川に放流できるようにしたり、雨水だけ堀に流れ込むようにする。東京招致を目指す二〇一六年夏季五輪の前までに、改善を完了させる予定だ。 (石川修巳)

 都によると、皇居周辺で下水道が整備されたのは、一九三五(昭和十)年ごろ。当時は浸水被害と汚水への対策が緊急課題だったため、汚水と雨水を同じ下水道管で流す「合流式」が広く採用されていた。

 合流式の場合、晴天時にはそのまま下水処理場に流れるが、大雨で下水管の許容量を超えると、汚水と雨水が混じった下水の一部を、河川や海に直接放流する。皇居の周辺では、内濠(うちぼり)に放流する仕組みになっている。

 内濠には千鳥ケ淵、桜田濠、清水濠に計四カ所の放流口がある。都は、新たに下水道管を設けて放流先を隅田川に変更したり、汚水と雨水を分離して雨水だけを内濠に流すようにする計画だ。

 堀を管理する環境省によると、六五年の淀橋浄水場(新宿区)の閉鎖で外からの水の供給がストップ。

 水源は雨頼みのため、水はよどみがちで、夏場には水面が緑色に濁り、悪臭の原因になるアオコが発生している。

 環境省は「下水だけが水質悪化の要因とはいえない」として、これまでにも都と協力してさまざまな水質浄化対策を模索。浄水施設を使ったり、水抜きして堀の底を天日乾燥させたりしている。

 石原慎太郎都知事は都議会答弁で、次回の夏季五輪が開かれるロンドンを引き合いにして「バッキンガム宮殿そばの堀も、トライアスロンの競技に使うくらい整備を進めている。東京も負けずにできるんじゃないか」と述べている。

 

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