JR王子駅(北区)のトイレの汚水が近くの石神井川に垂れ流されていた問題で、都は21日、トイレの排水管と都管理の雨水管の接続場所を切り替える工事が約10年前に実施されていたことを明らかにした。付近で実施された首都高建設工事に伴い、JR東日本が行った。今回発覚した“垂れ流しルート”はこの際にできたという。
都によると、トイレの排水管は首都高の建設工事が実施される前から雨水管に接続され、汚水が石神井川に垂れ流される状態になっていた。「いつから垂れ流しが始まったのかは分からない」としている。
首都高工事が実施されたのは98~99年。雨水管の一部が工事の支障になるため、道路下に位置する約65メートルが撤去されることになった。撤去部分は排水管との接続部分を含んでいたため、JR東日本は、雨水管の残存部分に排水管との接続位置を切り替えた。都によると、雨水管など都が管理する下水管に排水管などを付ける工事をする際は申請が必要だが、この付け替えについてJR東日本からの申請はなかった。このため、問題のある排水管の接続を把握することもできなかったという。
JR東日本は、「当時、汚水を流してはいけない管だと認識していなかった。首都高工事の際は、従来の排水機能を維持するために付け替えをしたが、申請については当時の記録が残っておらず、確認できない」と話している。王子駅のトイレの汚水が石神井川に垂れ流されていた問題は、今年3月に都下水道局が行った工事をきっかけに発覚した。【鮎川耕史】
〔都内版〕
毎日新聞 2009年4月22日 地方版