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彦根市長選告示 5氏が立候補

2009年04月20日

【課題山積 舌戦火ぶた】

 彦根市長選が19日、告示され、現職と新顔4人の計5人がいずれも無所属で立候補した。同市長選に5人が立つのは初めて。財政再建や市立病院の再生など、課題山積の市政をどう進めるか。各候補は市内各所で演説し、支持を訴えた。26日に投開票される。

 立候補したのは、元県議で貿易会社長の大久保貴(45)▽元市議で仏壇店経営の辻橋正一(61)▽現職で弁護士の獅山向洋(68)▽輸入通信販売業の和田裕行(38)▽元市議で警備会社員の伊藤善規(61)の5氏=届け出順。

 自民党彦根市連絡協議会が獅山氏を推すが、各候補とも正式な政党の支持・推薦は受けていない。地元選出の4県議もそれぞれ別の候補を応援するなど、政党色の薄い選挙戦となった。

 3度目の挑戦になる大久保氏は「病院再生」を前面に打ち出し、地域医療の基盤強化を訴えた。地元三津屋町など3地区を地盤に、県議時代からの支持者らが支える。

 初挑戦の辻橋氏も「市立病院の再建」を掲げ、医師不足の解消による改革を主張。自身がNPO法人で活動していたことから、「市民派」を掲げ選挙戦に臨んだ。

 獅山氏は2期目の実績を強調したうえで、「将来に危険のツケを回すな」と県の芹谷ダム建設中止を批判。大半の自民党市議に加え、古くからの支援者が応援する。

 前回次点の和田氏は、若者が移り住めるまちづくりに向け「市政一新」を訴えた。地元の高宮町など3地区を重点に、一緒にまちづくり運動をしてきた若者らが支援する。

 初挑戦の伊藤氏は、芹谷ダム問題を第一に挙げ、「市民の命を守るダム建設復活を県に要求していく」と主張。地元の支持者や会社の同僚らが選挙戦を支える。

【きょうから期日前投票】

 期日前投票は20〜25日、彦根市役所と同稲枝支所の2カ所で。18日現在の有権者数は8万6949人。

【候補者の第一声】

大久保貴(おおくぼ たかし)氏(45)/無新

「病院再生 必ずできる」

 午前10時、地元の三津屋町の選挙事務所前であった出陣式で第一声を上げた。

 市立病院など地域医療体制の充実を念頭に「病院再生」を強調。「地域の医療を強化していく。この地域の医療体制を、私たちの安心を守れるものにしたい。強い決意をもってやれば、必ずできる」と訴えた。

 また、厳しさを増す経済情勢に触れながら「将来に対する不安を払拭(ふっしょく)し、安心を与えることが最大の経済対策だ」と指摘。学校と家庭が協力しあい、主食は家から持参する「おかずだけ方式」による中学校給食の実施を掲げ、「これからの世代の人たちが安心してこのまちに住めるということが、将来の発展につながる」と呼びかけた。

 出陣式には、市議や民主党の江畑弥八郎県議も応援に駆けつけ、支持を訴えた。
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辻橋正一(つじはしまさかず)氏(61)/無新

「市財政 身切る覚悟で」

午前9時から中藪町の選挙事務所で出陣式に臨み、詰めかけた支持者を前に声をからした。

 公約に医療福祉の充実を掲げる立場から、「市民が巨費を投じて建てた市立病院が機能不全に陥っている。医師の派遣を一つの大学に頼ってきた政策判断に誤りがある」と現市政を批判。そのうえで「医師確保のヒントは得ている。2年間で市立病院を大改革し、再建する」と訴えた。

 悪化する市の財政については「市民との協力で確実に改革を進める。自分も身を切る覚悟が必要で、市長給与の2割カット、退職金の辞退を約束する」と述べた。

 民主党の中沢啓子県議も応援に駆けつける中、狂言師のパフォーマンスや和太鼓の演奏に見送られながら、選挙カーで街頭に繰り出した。
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獅山向洋(ししやまこうよう)氏(68)/無現〈2〉

「『借金は悪』おかしい」

 午前9時、赤いのぼりが翻る銀座商店街の選挙事務所前でマイクを握り、「彦根は変わってきている」と、4年間の市政運営の実績を強調。「400年祭で観光客を集め、国の歴史まちづくり法や定住自立圏構想にも選ばれるなど全国的に評価されている」と述べた。

 行財政改革では「借金は悪、という考えはおかしい。公共下水道など、借金してでも必要なことはやらねばならない」と持論を展開した。

 芹谷ダム問題では、「将来に危険のツケを回してはならない」と建設中止を決めた県を批判。「川の中流で馬を替えるな」と、かつての米大統領リンカーンの言葉を引き、続投への支持を訴えた。

 自民党の藤井勇治衆院議員や中村善一郎県議も激励に駆けつけた。
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和田裕行(わだひろゆき)氏(38)/無新

「古い行政 一新へ全力」

 午前9時から地元の高宮町の選挙事務所前で出陣式。支持者を前に「閉塞(へい・そく)しきった、疲弊しきった、情報も隠されている、こんな古い市政を一新すべく全力で戦いたい」と決意を述べた。

 立候補した5人の中で最年少の若さを強調。「未来の責任世代として、子どもにツケを回さない。これを彦根全域に広げたい。若者が移り住み、しっかりと仕事をして、お年寄りをお支えする。そういう町を目指していきたい」と述べた。

 出陣式には、自民系会派の西村久子県議や地元市議2人も応援に駆けつけた。演説する和田氏の脇には「井伊の赤備え」にちなんだ赤い甲冑(かっちゅう)をまとったスタッフも登場。街頭演説にも同行し、選挙に関心の薄い若い層の注目を集めて訴えを浸透させる考えだ。
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伊藤善規(いとうよしみ)氏(61)/無新

「芹谷ダム 復活へ戦い」

 午前9時、佐和町にある選挙事務所前で出陣式に臨んだ。支持者を前にまず訴えたのは、県が建設中止を決めた県営芹谷ダムの復活だ。

 「嘉田知事は非情にも、われわれ彦根市民の命の砦(とりで)、芹川の大洪水を防ぐ芹谷ダムを中止した。この戦いを通じて、知事にかみついたら離さない姿勢で、復活を訴えていく」

 次に触れたのは、彦根市の財政再建だ。「超過勤務手当の削減や給与カットなどにより年間6億5千万円の人件費を削減する。ほかの候補は具体的な削減目標を掲げていないが、私は、労働組合をねじ伏せてでも実現する」

 式では、自ら司会のマイクも握った。出陣式のあと、芹谷ダム建設の必要性を訴えるため、芹川の流域を中心に演説して回った。

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