私的裏庭

アーティキュレーション基礎編 (2009-04-25)

はじめに、サザエさん冒頭のおなじみのあのメロディを初音ミクに歌わせたものが 三種類ありますので、それぞれ聴き比べてみてください。

サンプル1

悪くはないんですが、ちょっとのっぺりしすぎてますね。

サンプル2

音と音の間がブツブツ切れていて、聴いていて息が詰まってしまいそうです。

サンプル3

聴いていて一番心地よい歌い方ですね。

さて、サンプル3が一番カツゼツの良い歌い方になったのは何故でしょうか。 その秘密は「どの音の前に隙間を作るか」にあります。具体的なルールはズバリ

これだけです。なぜ「か」「た」「ぱ」行なのかと言いますと、 「カッター」「アッパー」のように「ッ○」と言いやすい発音だからです。 それに対して、例えば「アッナー」とか「アッバー」などは発音に若干無理がありますので、 「な」「ば」行については前後の音をぴったりくっつける、という風に判断します。 ※1

参考までに、3つのサンプルそれぞれの VSQ のデータを以下に載せます。 上から順に、サンプル1,2,3 のデータです。

サンプル3で 「おさわえどらね と、強調した部分の音に隙間をあけてあるのが分かるでしょうか。

具体的な隙間の長さはケースバイケースですが、

というのがだいたいの目安となります。 場合によっては隙間を長くとって子音を強調したり、逆に短めにしたりもします。 左上の LENGTH と QUANTIZE をそれぞれ 1/64 にしておく (場合によってはオフにする) と微調整しやすいですよ!

なお、このように音の音の間に隙間を作ってカツゼツ良く歌わせる表現技法のことを専門用語で 「アーティキュレーション」と呼びます。 この用語は後の講座でも普通に出てきますので、 よく覚えておいてください。

今回のサンプルファイル

lesson-20090112.zip

宿題

サンプルの zip ファイルの中に、 「およげたいやきくん」の冒頭の歌詞を歌わせた vsq ファイルがあります(homework.vsq)。 音の長さを調整して、もっとかっこよく歌わせてください。 編集するのは音の長さだけです。その他のパラメータはいじらなくて結構です。 次回の講座で回答例をお見せします。

注釈

※1

ガンダムのモビルスーツには「アッガイ」みたいな名前もありますが、 「ッガ」とかは日本語として言いやすい部類ではないと思うので、個人的には 「が」行も隙間を詰める音として扱ってます。

「だ」行についても、「ヘッダー」みたいな言葉は一応ありますが、 個人的には隙間を詰める音にしてます。例えば 「かたまり」という歌詞を 「かったーまーりー」って歌うのはアリですけど、 「へだたり」という歌詞を 「へっだーたーりー」と歌うのはちょっと不自然なので。 「へーだったーりー」だったらアリですけどね。