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豚インフル:厚労省が情報収集 専門家ら大流行を警戒

 豚インフルエンザによりメキシコで60人が死亡した疑いがあるとの報道を受け、厚生労働省は世界保健機関(WHO)に問い合わせるなど、情報収集を始めた。専門家からは人から人へ感染するパンデミック(大流行)を懸念する声があがる一方、季節性のインフルエンザではないかとの見方も出ている。

 豚インフルエンザは豚の間で、A型のインフルエンザウイルスが感染することで起きる。米疾病対策センター(CDC)によると、1976年に米国で豚から人への感染例が報告されている。

 通常は人に感染した場合、ほとんど症状は出ず、軽症でおさまる。ただ、豚は人間と鳥の両方のインフルエンザに感染するため、豚の体内でウイルスが混ざり合い、新型ウイルスに変異し、新型インフルエンザとして大流行する可能性が指摘されている。

 国立感染症研究所の田代真人・ウイルス第三部長は「米国のウイルスはH1N1型だった。メキシコでも全員が同じ型に感染しているか確認する必要がある。現在、WHOが検査中で、同一との結果が出たら、人から人へ感染するパンデミックの始まりになる」と説明する。

 新型インフルエンザに詳しい外岡(とのおか)立人・元小樽市保健所長は「メキシコでの死者は25~40歳の若年層で、急激に症状が悪化したとみられる。パンデミックの始まりを疑った方がいいのではないか。メキシコでの発症は2日前からとみられ、すでに日本国内にウイルスが入っている可能性もあるかもしれない。検疫を強化すべきだ」と指摘する。

 一方、河岡義裕・東京大医科学研究所教授(ウイルス学)は「米国で検出されたH1N1型は、人間では季節性インフルエンザのAソ連型として流行を繰り返している。だれもがある程度は免疫を持っている。H1N1型であれば、感染が拡大しても被害は大きくならないだろう」と話している。【関東晋慈、足立旬子】

毎日新聞 2009年4月25日 0時30分

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