都道府県別の臨床研修医定員に上限を設定する厚生労働省の臨床研修制度見直し案で府内は08年度採用実績の30%の削減になるとして府などが反発していた問題で、同省は23日、前年度の実績を考慮する新たな経過措置を加える修正方針を明らかにした。府などの意見に配慮した形だが、府は上限設定を一度撤回するよう求めており「経過措置にとどまるのでは困る。必要な働きかけは引き続き行っていく」としている。
修正方針は同日の医道審議会医師分科会医師臨床研修部会で示された。同省が3月に示した見直し案では、全国の研修医総数を都道府県別に人口割合や医学部定員割合で配分するとし、府内の定員上限を190人と試算。府内の08年度実績は274人で、急激な減少を避ける仕組みがあり、27人減の247人とされた。府は「地域医療の崩壊の危機」と猛反発。抜本的再検討を求める意見・要望書を山田啓二知事と府内26市町村長の連名で13日に同省に提出していた。
同省によると、今回の修正では、来年度の研修医募集について、今年度研修を始めた研修医と病院側の採用希望をコンピューターですり合わせた「マッチング」の実績も考慮する。府内では今年度のマッチングは268人だった。もっとも、最大限認められるかどうかは不明で、都道府県別に上限を設定する方向そのものは変わっていない。
府医療課は「内容を把握しておらずコメントできない。地方の意見を踏まえてくれたのであればありがたいが、修正内容を確認した上で、必要であれば働きかけを続ける」としている。【太田裕之】
毎日新聞 2009年4月24日 地方版