高松市は、香川大医学部付属病院(三木町池戸)内に「救急ワークステーション」を設置し、救急車に医師が同乗するシステム(救急ドクターカー)の試行運用を始めた。期間は来年3月末までの約1年間。
高松市と香川大の連携協力事業の一環で、傷病者の救命率を上げるのが目的。運用は平日の午前9時~午後4時半。救急ワークステーションに同市消防局の救急救命士2人と、高度な応急処置ができる機材を備えた高規格救急車1台が待機する。
救急要請のうち、心肺蘇生処置が必要▽救出時間が20分以上かかり、救命処置が必要▽大規模な事故、災害発生で傷病者が15人以上--の場合などに、救命救急センターの医師1人が救急車に同乗して現場出動。救急救命士が医師から助言を受けて処置をしたり、状況によっては医師が直接処置をして医療機関へ搬送する。
救急ワークステーションは既に開所式をしており、シミュレーションもした。
三木町内で50代の男性が心肺停止し、市消防局通信司令室からステーションに出場要請の電話があったと想定。患者の症状を聞いた救急救命士がセンターの医師に連絡し、医師1人と救急救命士ら計4人がドクターカーに乗り込んだ。4人は協力して、医師の指示が必要な器具を使っての気道確保や、昇圧剤の投与などの処置にあたり、患者を病院に搬送した。
同病院の黒田泰弘・救命救急センター長(49)は「医師が現場を知ることも大切。救急救命士と信頼関係を築き、多くの命を救いたい」と話していた。【中村好見】
毎日新聞 2009年4月24日 地方版