紀宮さまがディズニーランドをご訪問された日のこと
皇族の紀宮さまから民間人となったのですから、これからは黒田清子さんとお呼びするのですね。
幸せな家庭を築かれることをお祈りいたします。
今日は、紀宮さまが東京ディズニーランドを訪問された時のお話を少しだけさせていただきます。
86年(昭和61年)の6月9日のことです。東京ディズニーランドにはこの日、二つの「うれしいこと」がありました。
一つはドナルドダッグの52回目の誕生日です。
そしてもう一つの「うれしいこと」が紀宮清子内親王殿下のご来園です。
宮さまは学習院女子高等科のご学友と来園されました。
当日は天気も良く、ゆっくりと東京ディズニーランドを楽しんでいただけたものと思います。
SP(セキュリティ・ポリス)が女性の警護官一人だけであったのが印象的でした。
警護のほとんどの部分を東京ディズニーランドのセキュリティスタッフにお任せいただいたということです。
「特別扱いはしないようにしてください」という皇后さまのお言葉をよくお聞きしますが、宮さまの東京ディズニーランドご訪問へのお気持ちも同じであられたのでしょう。
私が皆さんにご紹介したいのは宮さまがお帰りになられる時のことです。
ご学友とともにメインエントランスの出口付近に止められたお車に乗られた宮様は、予定どおりの経路により駐車場の出口へと向かわれました。
その時、私とセキュリティスタッフの二人は、宮さまが駐車場から出られる出口周辺をモニターしていました。
もちろん特別な事態が発生することなどは考えられないのですが、お車が無事に公道に出られたことを確認し、本部に報告することが任務であったと思います。
宮さまが乗られたお車が駐車場を退出される時、私たち二人は出口の公道側の目立たない場所に立っていました。
なぜならば、東京ディズニーランドによるご一行のお見送りは、宮さまがお車に乗られた時点で終了していたからです。
それでも宮様は駐車場出口に立つ私たち二人に対し、にっこりほほ笑みながら深々と頭を下げられました。
私たちはふいをつかれたように慌てて頭を下げかえすのが精一杯でした。
正直なところ全く予想していなかったからです。
皇族であられるとしても当時はまだ「高校生」です。公式訪問ではなくプライベートなご訪問であり、お車で出口へ向かわれているもうその時には、ご学友との楽しい会話に花が咲いていることが普通のことではないでしょうか。
キョウチクトウの生垣の向こう側、目立たない場所にいる私たちに気づかれるはずはないと考えていた私が間違っていました。
この日、宮さまのさりげないお気遣いと優しい心根に感動した東京ディズニーランドのキャストは、決して私だけではなかったことでしょう。
民間人になられた黒田清子さんがご主人の慶樹さんとご一緒にディズニーランドを訪問された、こんな知らせが聞こえてくる日が楽しみです。
どうぞ末永くおしあわせに・・・