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末期がん患者往診車:緊急車両に指定--栃木「在宅ホスピスとちの木」 /栃木

 ◇一秒でも早く痛みを取ってあげたい 渡辺所長の願い届く--構造改革特区利用

 自宅での療養を望む末期がん患者を往診する「在宅ホスピスとちの木」(栃木市箱森町)の所長で、医師の渡辺邦彦さん(49)が患者宅を緊急に往診する際に使用する乗用車が、道路交通法上の緊急車両に指定された。きっかけは「一秒でも早く患者の痛みを取ってあげたい」という渡辺所長の強い願いだった。

 緊急車両の指定は道路運送車両法の保安基準と道路交通法施行令の一部改正によるもので、08年10月に政府の構造改革特区で認められた。渡辺所長の車には赤色灯とサイレンが取り付けられ、緊急時には救急車と同様に優先走行が許される。

 県内にはモルヒネなどの薬物で痛みを和らげる緩和ケア専門医が少ない。渡辺所長が08年中に看取(みと)った患者は計82人。緊急時の往診でお盆の帰省ラッシュに巻き込まれ、車が動かなくなることもあった。そこで、構造改革特区で緊急車両の指定を認めるよう提案し、今回の改正につながった。

 渡辺所長は「患者が『苦しい』『痛い』と訴えているのに、交通渋滞で到着が遅くなってしまうのは、患者の家族にとってもストレス」と指摘する。そのうえで「がん患者に対して、緩和ケア専門医が少なすぎるのが根本的な原因。医師をもっと増やせばサイレンを使わなくても済むようになる」と話している。【戸上文恵】

毎日新聞 2009年4月24日 地方版

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