県立4病院の08年度の収益が、07年度の倍近い約8億8000万円の赤字に落ち込む見通しとなった。病院局が3月末にまとめた経営健全化プランで明らかにした。原油高騰に伴う経費増や診療報酬の引き下げなどが原因と見られる。
同局によると、08年度の診療報酬引き下げの影響で、一般会計からの繰り入れなどを除いた4病院合計の医業収益は278億2200万円(前年度比約3億2200万円減)と悪化。一方、経常費用は石油高騰などのため361億7200万円(同5億6300万円増)とふくらんだ。病院経営の指針となる医業収支比率は78・6%と、6年ぶりに80%を割り込む。
個別の純損益では、がんセンター(伊奈町)が07年度の黒字(7200万円)から、2億4900万円の赤字に転落。循環器・呼吸器病センター(熊谷市)も赤字幅を07年度の5億4100万円から6億3000万円へと拡大させている。小児医療センター(さいたま市岩槻区)と精神医療センター(伊奈町)は07、08年度ともに収支は均衡している。
4病院は高度医療や専門医療に取り組んでいるため、構造的に経営は厳しい。03年度以降は収支が安定していたが、07年度に再び赤字に転落した。09年度も2億3700万円の赤字を予想している。増収策として▽医師の欠員11人を埋めるため若手の報酬を月額9万円上乗せ▽診療報酬を上げるために、看護師を32人増員などに取り組む--としている。
元県職員で自治体病院の経営に詳しい城西大の伊関友伸准教授(行政学)は「医師不足が深刻化する中、医療の質を維持するためには赤字もやむを得ない面がある。目先の利益にとらわれず、医師の増員などに着実に取り組むべきだ」と話している。【岸本悠】
毎日新聞 2009年4月23日 地方版