ここから本文です。現在の位置は トップ > 地域ニュース > 滋賀 > 記事です。

滋賀

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

選挙:彦根市長選 5候補にアンケート/上 /滋賀

 毎日新聞は、26日投開票の彦根市長選の5候補に政策アンケートを行った。内容を2回に分けて紹介する。(届け出順)

 ◆質問

 (1)行財政改革

 (2)まちづくりと将来展望

 (3)市立病院の医師不足による診療制限と赤字対策

 (4)芹谷ダム問題への対応と芹川治水

==============

 ◇大久保貴候補(45)=無新

 (1)就任後3年間を集中改革期間とし、実質公債費比率18%以下の達成に向け、こん身の力を注ぐ。改革期間中は市長の期末手当を支給せず、22年度からは政務調査費削減への協力を議会にも求める。自治会や各種団体の内部留保金を活用する無利子の街づくり債を発行し、債務の繰り上げ償還等を目指す。市民参加の委員会による予算査定を行い、ゼロベースから事業を見直す。

 (2)定住自立圏構想や歴史街づくりなど国の制度を最大限活用して街づくりを進める。人口減少社会にあっても、安定的な地域の発展を目指し、未実施校での「おかずだけ方式」による中学校給食の完全実施や小学生への医療費助成を行い、若い世代が生活に安心を得る政策を実施する。次世代産業としての農業を育成するため、農・官・学の協働で農業の基盤づくりを図る。

 (3)医療体制の安定確保は地方行政の最重要政策と位置付け、病院再生に取り組む。病院の経営改善は結果であり、開業医・勤務医・看護師が市民(患者)と共に病気に向き合う地域医療の整備が目的。そのために何をなすべきかは既に分かっており、実行が問われている。私も最善を尽くすが、病院長を副市長に格上げし、市民・医師会はじめ関係者の理解と協力も求める。

 (4)経済状況と県財政を考えると、100年に一度の対策としてダム建設を推進することは残念ながら非現実的だ。いつ建設されるかも分からないことに労力をつぎ込むことは税金の無駄遣いだ。しかし、人口密集地域を流れる芹川がはんらんすると、被害は計り知れない。河床のしゅんせつや堤防強化など、取りかかれるものには直ちに取り組むよう強く要望する。

 ◇辻橋正一候補(61)=無新

 (1)市財政は危機的状態。市長報酬の2割カットや市長退職金は辞退する。本丸は人件費の大幅圧縮。退職者補充は最小にする。金城学区の中地区公民館は任意団体が運営、市職員2人が不要になり、運営費は3割減を達成。この方式を可能な施設に広げる。市民、職員、学識者などで市政の戦略を練る政策推進部を新設するなど、市民の要望に応える機構に改革する。

 (2)まちは市民と市役所が協働でつくるもの。「市民に見えない市政」を改め、情報公開に徹し、みえる市政、打てば響く市政にする。小学校区ごとに地域担当職員を配し、対話集会を定期開催するなど市民の意向を調べ、市政に反映させる。「ボランティアやNPOに冷たい彦根」の評価を払拭(ふっしょく)すべきだ。市民活動とも協働し、市職員には地域活動や市民活動への参加を促す。

 (3)市立病院の惨状にいらだちすら覚える。近隣の中核病院に比べても機能不全が深刻。産科問題では、通常分娩しかできない開業産科医に市が建設補助をしたのは誤りで、結局、ハイリスク出産の解決にならなかった。医師確保を特定の大学に頼りすぎたつけではないか。今後は多くの医大とパイプをつなぎ、彦根出身の県外勤務医とも接触するなど解決に全力をあげる。

 (4)県は今年度から市街地の芹川河床で土砂除去に着手する。住民はボランティアで草木の伐採を決めるなど安全性向上の「協働」が始まる。芹谷ダムは40年間も具体化せず、嘉田知事は彦根でも過半数の支持を得た。ダム計画は近年、「巨大トンネルで別の谷に水を流す」など変更に次ぐ変更。計画自体に疑問を感じた。河床掘り下げと堤防強化の後の状況を見て検討すべきだ。

 ◇獅山向洋候補(68)=無現

 (1)市長に就任した05年度に新たな行政改革大綱、経営改革プログラム、定員適正化計画を策定し、06年度から12年度までの7年間に実質公債費比率を18%未満にする計画を実行中だ。これらの計画に基づき、これまでの4年間で市の公債(借金)を111億4500万円削減し、市職員は62名減らした。今後も計画に従って着実に行財政改革を実行していく決意だ。

 (2)彦根城とその周辺の観光事業が著しく進展しているうえ、歴史まちづくり法の認定による追い風が吹いているので、当面はこの地域の文化財整備を促進する。しかし、各地域の特徴を生かした「まちづくり」を積極的に進めるべきで、農地地帯、森林地帯はもとより、荒神山、中山道、佐和山城跡、琵琶湖やその周辺地域について長期的な整備・開発計画を策定していきたい。

 (3)市立病院の診療制限も赤字も、原因はすべて医師不足にある。医師不足解消への最短の道は、市立病院が医師にとって魅力ある病院になることだ。この観点から医師の人間的な生活確保を主眼として、医師の待遇改善、医療機器の整備、市民の医師に対する支援態勢の確立に努力を傾注しており、その努力が次第に実ってきている。今後も医師不足を解消するため全力を尽くす。

 (4)芹川は、その洪水史や人口密集地の天井川であることから、上流にダムが必要なことは明白だ。ダム中止を決定した知事の良識が疑われる。住民の命と財産を守る意欲に欠けた者は首長失格だ。断固、県に芹谷ダム建設を求めていく。知事の堆積(たいせき)土壌撤去案は治水問題を河川管理の問題にすり替える論理であり、堤防強化案はケヤキ並木伐採を意図するもので、容認できない。

 ◇和田裕行候補(38)=無新

 (1)現状把握から始め、「子供にツケを回さない」ために4年以内に均衡財政を達成する。人件費を民間の常識で抜本的に見直すと同時に、使い切り予算を削減する。補助金も、これまでの支給基準を抜本的に見直す一方、必要な補助金は守り拡充するなどメリハリをつける。歳出削減だけではなく、歳入増(自主財源の確保)を図るべく、経済活性化策に積極的に取り組む。

 (2)「若者が移り住む街」「若者が活躍しお年寄りを支える街」を目指す。人口が増えて行く都市計画を進めていかなければならない。経済活性化(税収増・雇用増)を図り、医療・教育・子育て支援ができる街づくり、歴史や伝統を守りながらも若者に魅力的な街づくりを進める。コミュニティーで大切なのは持続可能性。30年、50年先を見すえたビジョンを打ち出していく。

 (3)必須の科に必要十分な医師を確保することが最優先課題だ。特に産婦人科、小児科、循環器内科医の確保は、若い世代が出ていかず(移り住み)永住する街を目指す上でも重要だ。市長自ら医師誘致活動をし、同時に財源確保に努める。赤字については、民間の経営感覚を導入し経営健全化を推進すべきだ。地域医療充実のためにも行財政改革の徹底と自主財源確保に努める。

 (4)流域市民の生命と安全を守る上で芹谷ダムは必要だが、現在の経済状況や県全体での優先順位を勘案すると、まずは治水による安全確保に取り組まざるを得ない。市としては県に要望しつつも、洪水対策の危機管理マニュアルを作成して地域の防災力を高めると同時に、災害ボランティアステーション団体と連携し、他地域との災害時ボランティアネットワークを構築する。

伊藤善規候補(61)=無新

 (1)政府は今年度自治体の税収が3・8%減るとし、市に当てはめると、約6億5000万円の不足となる。その穴埋めを、10年以上在籍する市職員の給与カットと、この3年間、6億円、6億3000万円、6億4000万円と年々増加する時間外勤務手当の削減で年間6億5000万円の人件費を削減して対応する。もちろん市長の給与もカットし、市長退職金もゼロにする。

 (2)彦根は観光立市であり、ひこにゃんに続く新たな観光施策が必要だ。京橋口櫓(やぐら)門の復元に開国150年祭の期間に着手し、世界文化遺産登録への弾みにしたい。50年前の開国100年祭に完成した佐和口多聞櫓は建設費3500万円(現在の7億円相当)全額を寄付で賄い市財政からは支出していない。京橋口櫓門も文科省の補助や「ふるさと納税制度」の活用に依拠したい。

 (3)1市4町の4総合病院を一くくりにし、その中で診療科を統廃合する。例えば、小児科は、小児科医7人のうち5人がいる市立病院に集中させ、精神内科や整形外科は民間にお願いするなど、医師をはじめ医療資源を共有・分散する改革を実行する。また、地元の医師に市立病院への紹介状を書いていただく。紹介率を高め患者を増やすための営業に市長が病院長と走りたい。

 (4)自然を守るため知事は芹谷ダム建設を中止したが、地球温暖化でいつ牙をむくか分からない大自然の驚異に無抵抗であってはならない。市民の4割の約4万6000人が被災し、生命・財産が危険にさらされる。私自身が芹川の大洪水被害の体験者であり、建設中止を撤回させるまであらゆる手段を行使し、嘉田県政を退陣に追い込んででも市民の命を守り抜く覚悟だ。

毎日新聞 2009年4月22日 地方版

 
郷土料理百選
地域体験イベント検索

特集企画

おすすめ情報