供述調書漏えい事件の判決を前に、崎浜盛三被告(51)を取材した際、裁判員制度の話題になった。発達障害がある人の殺意をどう認定するかが問題になるという。
崎浜被告は、長男が自宅に放火して母子3人を死亡させた時、火をつけることに集中し、2階で母親らが寝ていることは意識から抜け落ちたとみて「殺意がなかった」と考えた。しかし、奈良家裁の決定は「2階で寝ていた母親らが死亡することもやむを得ないと考えていた」として、「未必の殺意」を認定した。
精神科医と司法の専門家の見方にズレがある。専門知識のない市民が見たら、長男の殺意は「あり」か「なし」か。罪で言えば殺人か過失致死か。その差は大きい。(高瀬)
毎日新聞 2009年4月21日 地方版