現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 国際
  4. 国連・その他
  5. 記事

人種差別反対会議に主要国欠席 イスラエル批判で騒然

2009年4月20日23時37分

 【パリ=飯竹恒一】国連の「人種差別反対世界会議」の再検討会議が20日、ジュネーブの国連欧州本部で始まった。採択文書案に間接的にイスラエル批判が盛り込まれているとする米国など欧米主要国の多くが欠席。さらに、議場でイランのアフマディネジャド大統領が、イスラエルを指して「中東の人種差別主義の国」などと非難する演説をしたため、フランスなどの代表団が抗議退席する騒ぎとなった。

 再検討会議は5日間の日程。01年に南アフリカ・ダーバンで開かれ、奴隷貿易・奴隷制を「人道に対する罪」と確認した会議を踏まえて、今後の検討課題を協議するのが本来の目的だった。しかし、人種差別問題そっちのけで、中東和平をめぐり「場外乱闘」が繰り広げられる異例の事態となった。

 米国などの出席の障害となったのは、採択文書案にある「ダーバン宣言と行動計画を再確認する」との文言。米国は01年のダーバン会議で、パレスチナとアラブ諸国がイスラエル非難を展開したことに抗議し、会期半ばで代表団を引き揚げていた。今回は、イスラエル、ドイツなど少なくとも8カ国が米国と同様の理由で欠席した。

 「イスラエルの地図上からの消滅」の持論で知られるアフマディネジャド大統領は唯一の首脳級として出席した。

 20日、演説に先立ち同大統領と会談した国連の潘基文・事務総長は、「シオニズム(イスラエル建国主義)と人種差別主義は同一視できないという趣旨の国連決議がある」とクギをさしていたが、聞き入れられなかった。

 イラン大統領演説は冒頭から、「人種差別主義だ」と非難する声やブーイングを浴びて一時ストップ。仏などの代表団が退席する時は、傍聴していたNGO関係者らから拍手が起きた。日本の代表団は退席しなかった。

 AFP通信によると、サルコジ仏大統領はイラン大統領演説を「人種差別的な憎しみに訴えかけるもので容認できない」と厳しく批判。ピレイ国連人権高等弁務官のスポークスマンも「全く不適切だ」と述べた。

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内
  • 中国特集