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三重県 ポジティブスパイラルプロジェクト
複数主体で地域医療確保目指す

2009.4.20

 県、市町、大学、病院が協力して地域医療の提供体制確保に取り組む「ポジティブスパイラルプロジェクト」が、三重県で今月から始まった。市町が拠出する資金によって、三重大の地域医療教育の充実を図るほか、県は地域医療の実践の場として研修センターを開設した。また、医師不足地域の病院に都市部の支援病院から医師を派遣する「バディホスピタルシステム」の本格運用も今年中にスタートする。

 県内の人口10万人あたりの医師数は、全国平均より約30人少ない177.9人。紀伊半島南部に位置する東紀州二次医療圏では140.8人にまで低下する。さらに人口が10万人を超える伊賀市でも117.5人だけで、医師不足は県全体の問題となっている。

 医師不足による病院診療科の休止や、医師の引き上げといった“負の連鎖”を断ち切るため、県は地域医療に従事する医学生らの獲得に注力。医師修学資金貸与制度の返還免除条件から、へき地での勤務義務を削除したところ、昨年度は新たに医学生61人への貸与が決まった。

 ただ、これらの学生をいかにして地域に定着させるかが次の課題として浮かび上がってきたため、県は今年度から県全体で医師の育成や確保を進める「ポジティブスパイラルプロジェクト」に着手した。

 県健康福祉部医療政策室の加藤和浩副参事兼副室長は、「お金や条件で縛るのでなく、早い段階から三重の地域医療を実感することで、地域医療に携わる思いを持ってもらう」と、プロジェクトの趣旨を説明する。

●市町拠出金で教育体制充実

 具体的には、県内市町が宝くじ収入を積み立てた市町村振興基金から、年間1億円を三重大医学部に支援。同大はこの資金を活用し、「医学・看護学教育センター」の体制強化や、6年間継続して専門的・実践的に地域医療を学べる特別カリキュラムの作成に取り組む。

 また、地域医療の実践の場として、県最南端のへき地拠点病院である紀南病院組合立紀南病院(御浜町)内に県が「地域医療研修センター」を開設した。センター長には、鳥羽市の離島・神島で17年間にわたり地域医療を支えてきた奥野正孝氏を招へい。奥野氏は今後、研修プログラムの策定や、医師向けセミナーの計画を進めていく。

 紀南病院では、往診や巡回診療、住民健診なども研修に組み込めることから、加藤氏は「地域医療を学ぶフィールドとして最適」と話す。


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