なにわ筋線推進へ合意──大阪府や市・国・鉄道会社などトップが懇談、採算性に疑問の声も2009/04/18配信
「関西活性化に向けた今後の鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会」で大阪府の橋下徹知事は「関空は遠いのが利用されない最大の要因」と強調、なにわ筋線の必要性を訴えた。大阪商工会議所の野村明雄会頭や鉄道各社の社長ら出席者全員がこれに同意。実務者検討会の設置準備を始める。国交省も地元の合意を受けて、事業化の前提となる都市鉄道調査を7月にも始める見通しだ。 ただ会合では関空へのアクセス改善効果や採算性、鉄道網としてのあり方などに疑問の声も出た。大阪市の平松邦夫市長は「(なにわ筋線と接続予定の)JR阪和線は通る電車が多い。関空への所要時間は結局40分近くかかるのでは」と指摘。西日本旅客鉄道(JR西日本)の山崎正夫社長は「阪和線の設備強化やなにわ筋線にどのような駅を造るかは検討課題」と述べるにとどめた。 南海線との接続では従来構想の汐見橋でなく南海難波を推す案が浮上した。阪急電鉄の角和夫社長が「御堂筋線の混雑緩和には(南海の)難波を通した方がいい」と提案。南海電気鉄道の亘信二社長も事業性などの観点からルートの見直しに前向きな姿勢を示した。 なにわ筋線はJR新大阪駅からJR難波と南海汐見橋の両駅までを結ぶ長さ10.2キロメートルの新線。JR阪和線と南海本線などを経由して関空につながる。大阪・梅田―関空間を従来の半分近い30分台で結ぶ。最近は利用が低迷する関空のアクセス改善の観点から注目を集めていた。 10年ほど前に国が事業化に向けた都市鉄道調査を実施した際は、事業費が3000億―4000億円程度かかるとされた。その後、地下化事業が進む東海道支線となにわ筋線を北ヤード付近で接続する案が浮上。新線の建設区間が当初案の約半分となり、事業費が抑えられる可能性が出ていた。 同日の会合では、阪急十三駅と市営地下鉄西梅田駅を結ぶ「西梅田・十三連絡線」などの新線計画も検討した。
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