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【社会】

勧誘電話『ノイローゼに』 三菱UFJ証・顧客情報転売

2009年4月18日 07時09分

名簿売却問題について、頭を下げる三菱UFJ証券の秋草史幸社長(左)と前田孝治常務取締役=17日午後7時28分、東京証券取引所で

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 三菱UFJ証券の顧客情報が転売された問題で、顧客のもとに業者から執拗(しつよう)な勧誘電話が相次ぐなど、影響が広がっていることが十七日、明らかになった。個人情報の使用をやめさせるのに有効な法的手段がない中で、時間や場所を問わず繰り返しかかってくる電話に顧客が苦しんでいる。

 「ノイローゼ気味になった高齢者もいた」。前田孝治常務はこの日の会見で、しつこい勧誘電話に日々悩まされている顧客たちの状況を説明した。

 同社に寄せられた苦情や相談で最も多いのが、不動産業者からマンション購入を勧誘されたという内容。商品の先物取引を誘ってくる業者も少なくない。中には一日二十回、電話を受けた人も。深夜零時ごろの電話や、勤務先にかけてくる例もあったという。

 同社の全個人顧客約百四十八万人のうち、業者に流れたのは約四万九千人分。同社は、情報が漏れたすべての顧客に順次連絡し、謝罪しているという。

 勧誘電話を受けていない顧客からも「名簿流出なんて、信じられない」との声が上がる。契約解除を求める人もいるという。

 同社に口座を持つ名古屋市の主婦(40)は「会社側から何も連絡は来ていない。私の口座は大丈夫そうだが、資産情報なども知らせてあるので金融機関は特に情報を守ってもらわないと」と厳しい口調で話した。

◆『管理不備』社長ら弁明 前回説明と食い違い、謝罪

 三菱UFJ証券の会見では、秋草史幸社長らの管理責任を追及する質問が相次いだ。

 秋草社長は「管理が不行き届きだった可能性は十分ある。頭を下げて済む問題ではない」と弁明したが、「事実関係を把握し、信頼回復に努めるのが任務」と自身の責任には触れなかった。

 顧客のデータベースに接続できる社員数など前回の会見との食い違いがあり、前田孝治常務が絶句する場面も。秋草社長は「専門家を連れて来なかった私のミス」と謝罪した。

 「流出拡大は防げるのか」との質問に、秋草社長は「できると思わなければ、お客さまにご迷惑をかける。努力する」と強調した。

(東京新聞)

 

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