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【調書漏洩裁判】私はこうみる 白鴎大法科大学院・土本武司院長
このニュースのトピックス:刑事裁判
鑑定人が医師には当たらないとする弁護側の主張は通らず、裁判所の結論は有罪となるのではないか。ただ、それが事件の全体構造をとらえたものなのか、納得がいかない面がある。法律構成としては課題を残したといえるだろう。
秘密漏示罪で秘密を漏らす対象は、名誉毀損罪の場合ほどの不特定多数である必要はないとされる。しかし、長男にとって具体的な被害とは崎浜被告が草薙さんに調書を見せたことではなく、その著書が流布したことだ。だから崎浜被告と草薙さん、講談社の3者の競合による事件というなら分かる。そのなかで崎浜被告が調書を見せた行為は、いわば左手から右手へ物を移すような、共犯者間の内部的な行為に過ぎない。それのみをあえて犯罪ととらえたのには疑問を感じる。
また、調書を直接引用するなど自身の意に反する形で草薙さんに著書を出版されたのだから、崎浜被告には被害者としての側面もある。秘密漏示罪の成立は認めるにしても、そうした事情は量刑面に大いに反映されるべきだ。
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