MARVIS LAND > スペシャルレポート > No.33〜我慢は禁物。楽しく運動し、おいしく食事を摂って健康に!
我慢は禁物。楽しく運動し、おいしく食事を摂って健康に!

(1)健康の獲得には運動と食事の配慮が必要です。
(2)運動前にはどんなものを摂ればいいのでしょうか。
(1)運動後にはどんなものを摂ればいいのでしょうか。(2)冬場も水分補給は必要なの?
(1)疲労を回復させて活力ある生活を

疲労を回復させて活力ある生活を
疲労の原因は?

健康のため、体脂肪の減量のために運動をし始めたはずなのに、運動をし過ぎて身体を悪くする人がいます。運動を開始したために、疲労骨折をして、内蔵の調子が良くない、疲労が取れない・・・これでは元も子もありません。
 疲労の原因はいろいろありますが、主として

①エネルギー源の不足
②疲労物質の蓄積
③身体内部環境の失調


などがあります。

エネルギー源の不足
 空腹状態で運動して、足が動かなくなったり、集中力がなくなったり、判断力がなくなったり・・・。身体だけでなく、頭が働かなくなったことはありませんか?これは、身体のエネルギーと脳のエネルギーが不足しているために起こります。
 身体のエネルギー源は脂肪と糖分、脳のエネルギー源は糖分のみと言われていますから、運動後は炭水化物を多く含む食品を中心としてエネルギーの摂取を心がけるようにします(前述)。また、運動後なるべく早く(一般的には運動後30分程度)エネルギーを補給することで、その効果が高まります。この場合は質の高い内容の食べ物であることが前提ですが、グランドや体育館などの運動する場所であれば、オレンジジュースやグレープフルーツなど、柑橘系の果物100%ジュースやバナナなどを利用するのが現実的です。

疲労物質の蓄積
 急激な運動や長時間の立ち仕事によって足がパンパンになったり。筋肉が硬直することがあります。「乳酸」という成分が溜まって身体が酸性に傾くことも疲労の原因の一つです。
 疲労の原因は様々ですが、血液循環を良くし、代謝を活発にすると解消されることがあります。水分を補給して血液循環を良くし、柑橘系の果物や梅干に含まれるクエン酸、豚肉やレバー類、魚類に多く含まれるビタミンB群を摂取してエネルギーの代謝を促進させれば、疲労を回復させることができます。また、血液循環や代謝を良くするためには身体のケアも功を奏します。ストレッチやマッサージなどは血液の流れを促し、筋肉をほぐして内臓の働きを活性化させる効果をもちます。

身体内部環境の失調
 体内はホルモンや酵素の働きによってバランスが保たれています。例えば、食後は血液中の糖分が増加しますが、この時、ホルモン(インスリン)が働いて血液中の糖分を減少させる仕組みがあります。一方、空腹時には別のホルモン(グルカゴンやアドレナリンなど)が働いて、肝臓や筋肉などの組織から糖分や他の成分を血液中に移動させる仕組みがあります。何かが減れば、何かが補ってバランスをとる・・・。身体には様々な仕組みが備わっているのです。
 ところが、極度の疲労やストレスによってこれらの身体の微細な仕組みが正常に働かなくなります。この場合は、食事の成分による効果だけでなく、食事の精神面への効果も期待したいところです。
食事を摂るまでのプロセスや環境に配慮して疲労の回復を

 食事の効果は栄養性分野エネルギー量だけではありません。生活の中で、どのタイミングで食事を摂るかも身体組成や疲労の回復、また、体脂肪の蓄積の程度に影響しています。
 疲労の回復には運動や活動後の内臓やホルモン、酵素の働きが活発なタイミングでの摂取が推奨されています。一般的には運動や活動後30分程度と言われていますが、疲労し切っている場合は内臓の働きも鈍っていますから、少し時間をおいてから食事を摂った方がいい場合もあります。
また、同じ食事でもリラックスして摂る場合と緊張して摂る場合とでは、効果が異なります。リラックスして食事を摂れるように、光や風を入れて食卓の雰囲気を変えたり、食器や配膳にも工夫すれば些細なようでも大きな効果を期待できます。楽しく運動して、おいしく食事をとって健康を獲得する―。
 一日の疲労はその日のうちに回復させ、翌日は目覚めすっきり。さわやかに、そして健康な一日をスタートさせましょう。

講師:河合美香
龍谷大学准教授 スポーツサイエンスコース(スポーツ栄養学、体力トレーニング学)
筑波大学大学院修士課程終了。市立船橋高校、筑波大学、リクルートランニングクラブで選手生活を送る。高校と実業団では小出義男氏(女子マラソンのメダリストを指導)の指導を受け、高校時代にインターハイと国体の女子3000mで初代チャンピオン、大学ではインカレチャンピオンに。競技生活引退後は、女子マラソンの高橋尚子選手ら長距離選手を中心に様々な種目の選手や一般人の健康の維持をトレーニングと栄養面からサポート。現在、研究活動とともにスポーツと食の政策や制度についても模索中。また、レースにも出場して自己記録の更新にも挑戦。2001年(財)日本体育協会より秩父宮記念スポーツ医・科学賞奨励賞。
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