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個人情報流出:国に賠償命令…参院宿舎移転巡り 東京地裁

 参院清水谷議員宿舎(東京都千代田区)の移転に反対する隣接地の住民、梶浦淳代さん(64)が、自分の個人情報を参院事務局が移転賛成派に流したとして国に約250万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は13日、70万円の支払いを命じた。松本光一郎裁判官は「賛成派に(反対派への)攻撃材料を提供するも同然の行為。公正性が要求される国の機関の行為規範に著しく反する」と批判した。

 原告側弁護士によると、個人情報漏えいを巡る訴訟の1人当たりの賠償命令としては、過去最高額という。

 判決によると梶浦さんは07年1月4日、移転計画について参院事務局などに電話で問い合わせた。参院側は意見内容を氏名、住所、携帯電話番号、梶浦さんが病気で住民向け説明会に参加できなかった事実などと合わせてリスト化し、同15日にあった賛成派団体との協議の際、団体幹部の求めに応じて渡した。

 判決はリストを法的に保護される情報と認定。「原告の病気なども含む個人情報を、対立する移転賛成派に交付し、違法性の程度が大きい」と批判した。そのうえで、リスト提供後の同26日の住民説明会で梶浦さんが賛成派から罵声(ばせい)を浴びたことなどから精神的損害を50万円と算定。弁護費用の20万円を加えた額を賠償額とした。

 梶浦さんは判決後「主張を分かってくれほっとしている」と話した。原告側弁護士によると、リストには他に2人の個人情報も書かれており「参院には情報公開制度がなく、漏えいの経緯を公開請求できないのは問題」と指摘した。

 地上16階建ての宿舎を建設する移転計画を巡っては、東京都の石原慎太郎知事が08年12月に反対を表明し、参院側も白紙撤回の意向を示している。【伊藤一郎】

 参院事務局の話 判決は真摯(しんし)に受け止める。控訴するかどうかは関係機関と相談して決めたい。

毎日新聞 2009年4月13日 21時18分

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