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人材確保「厚遇」作戦も

2009年04月05日

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電柱工事の練習をする新井さん(左)。山根社長(右)自ら指導することも=秩父市の共和電機

◇仕事きつい? 不況下の建設業界

 公共事業の減少や不況の深刻化にあえぐ建設業界で、厳しい雇用情勢を逆手に取って良い人材を確保しようと、県内の企業も若い世代の求人に力を入れている。「仕事がきつそう」などと敬遠され、苦戦する企業が多い中、専門学校の授業料を負担して資格を取らせ、給料も払うという「厚遇」作戦も出始めた。

◇給料+専門校授業料

 「こういう状況だから、もっと人が来ると思っていたのですが……」。3月17日、川口市で開かれた「緊急雇用対策就職面接会」で、建設会社の採用担当者がぼやいた。

 面接会は、40歳未満の求職者を対象に市などが開き、約90人が集まった。製造業など参加企業約20社のうち、建設会社2社のコーナーを訪れたのは6人だけだった。

◇「3K印象」防げ

 県建設業協会は「景気は最悪。業者間の競争が激しくなり、請負額が下がって利益も大幅に減った」とみている。生き残りをかけて積極的に採用に動く企業もあるが、「3K(きつい、汚い、危険)」という印象が妨げになっているという。

 そんな中、創業約80年の秩父市の建設会社「共和電機」(山根義法社長)が、昨年から思い切った取り組みを始めた。主に高校の新卒者を対象に、入社後は授業料を会社が負担して専門学校に通わせ、その間も給与を支払うという制度だ。

 若い人材の確保と定着が長年の課題だった。07年、国が職場と専門学校での訓練を組み合わせた「実践型人材養成システム」への助成を始めたと知り、飛びついた。補助が出るとはいえ、学費や給与など1人当たり年間約120万円の費用がかかるが、将来のための出資と割り切った。

◇技術習得で魅力

 第1号の新井拓人さん(19)は昨年、皆野高校商業科を卒業し、入社した。専門学校で技術を習得でき、若手を大事に育てようという雰囲気に魅力を感じたからだ。「電気工事の知識がなく最初は不安だったけれど、この会社で頑張ってみたいと思った」

 入社と同時に専門学校の電気工事科に進んだ。授業がない平日は会社で研修を受け、現場で技術も覚えた。月約12万円の給与も支給された。「第二種電気工事士」を取得し、住宅の基本的な工事ができるようになった。「早く自分が後輩を指導できるようになりたい」と意気込む。

 今春は、地元の高校生2人が同じ待遇で入社した。山根社長は「人材確保の努力を怠るわけにはいかない。会社の将来を担う人材が出てくれば」と期待している。

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