米国に２８億ドル提供へ/来月までに成立

　【東京】衆院外務委員会は１０日、在沖米海兵隊のグアムへの移転に関する協定の国会承認をめぐり、３日目の質疑後に採決し、与党の賛成多数で可決した。１４日に衆院本会議で可決後、参院に送付される。１５日の参院本会議で趣旨説明と質疑を行う見通し。同協定は条約と同様に衆院議決が優先されるため、仮に参院の否決や３０日以内に議決されない場合でも５月中旬までに成立する。採決では自民、公明が賛成、民主、社民、共産は反対した。

　野党側は、日本が提供する資金の上限２８億ドル（２００６年日米合意当時で約３３００億円）の積算根拠の不透明さや、家族住宅に出資・融資される２５・５億ドルの償還見通しが示されない点などを理由に反対。参院の質疑でも引き続き追及する構え。

　採決前の質疑で、麻生太郎首相は２８億ドルの積算根拠に関して「下から積み上げたというより、（米側との交渉で）上限を決めた。３３（億ドル）ぐらいからスタートして最終的には２８（億ドル）になったと記憶している」と述べた。

　麻生首相は「グアム移転が（沖縄の）負担軽減につながるのは間違いない」とした上で、「米とインフラ整備を負担するが、費用負担だけで論ずるのは意味がない。（要員と家族ら）１万７０００人移転や嘉手納以南返還が実現できた時、軽減を実感してもらえると思う」との考えを示した。

　２０１４年までの家族住宅約３５００戸建設について、北村誠吾防衛副大臣は「大変厳しく難しいと思うが、それを目指してやりたい。家賃収入をベースとした事業（返済）は５０年の長期間になる。極めて慎重に進めないといけない」と述べた。

　協定は２月１７日に中曽根弘文外相とクリントン米国務長官が署名した。普天間移設を含めた日米合意したロードマップの確認や海兵隊移転に必要な日本側の資金拠出、米国による資金の適切な管理などが柱となっている。