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管理職悪用、「想定外」でお手上げ 三菱UFJ証券の顧客情報持ち出し
社員による顧客情報の持ち出しが後を絶たない。売却による金銭取得、再就職を有利にするための材料…。理由はさまざまだが、ここ数年では管理職が関与するケースが目立ち始めているという。今回発覚した三菱UFJ証券でも元幹部による持ち出しとされたが、専門家からは「信用度の高い管理職への監視は意外な盲点になっている」との指摘もあり、権限が集中する“幹部対策”も課題として浮上している。
管理職による顧客情報流出をめぐっては、みずほ銀行新宿西口支店の元「お客さまサービス2課長」が平成18年2月、計約1250件の顧客情報を持ち出し、暴力団のフロント企業社長に渡したとして、業務上横領容疑で警視庁に逮捕された事件などがある。警視庁によると、課長の犯行動機は「出世が見込めない銀行を辞めて、社長と一緒に起業する際の顧客リストにするためだった」という。
都市銀行関係者は、顧客情報の持ち出しに及ぶ“対象者”について「部下を指導する管理職は、それほど想定されていない」と明かす。
約149万件の顧客情報が持ち出された三菱UFJ証券幹部も、システム部門の元部長代理による今回の不正について「情報へのアクセス権のある幹部に悪用されては手の打ちようがない」と、想定外の事態に複雑な表情をみせる。
「他社による幹部社員のヘッドハンティングが活発化するにつれ、転職先への“お土産”として持ち出すケースも増えるのではないか」。こう指摘するのは労務問題に詳しい専門家だ。
ただ、企業側としては、責任と権限が与えられている管理職への監視を強化することは「疑心暗鬼を生むことにもなり、士気に影響しかねない」(証券会社幹部)と二の足を踏む傾向もあり、情報管理の強化に向けた対策は容易ではなさそうだ。
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