子供がいる女性勤務医のうち6割以上が育児休暇を取得した経験がないことが、日本医師会が初めて実施した女性医師勤務実態調査で分かった。子育て中に勤務時間や勤務日数を減らした女性医師もそれぞれ2割前後しかおらず、日医は「国家試験合格者の3割を超える女性医師が出産しても仕事ができる環境を作ることが、医師不足解消には不可欠」と指摘している。
08年12月と09年1月、国内全病院の女性勤務医を対象に調査、7467人から回答を得た。3119人に出産経験があり、その約3分の2に育児・介護休業法施行(92年)後に生まれた中学生以下の子供がいるが、育休を取っていたのは37%。全業種を対象にした厚生労働省の07年調査では、出産した女性の90%が育休を取っており、医療界の対応の遅れが著しい。
出産後の働き方を複数回答で聞いたところ最多は「変化なし」の38%。勤務日数を減らしたのは22%で、時間短縮勤務は17%だった。
一方、子育て中の女性医師の約2割は勤務の軽減を望んでおらず日医は「同僚に迷惑をかける、自分のキャリアを守りたい、といった子育て優先をためらう意識も、女性側にあるのではないか」と分析している。【清水健二】
毎日新聞 2009年4月8日 20時42分