厚生労働省が検討している臨床研修医の都道府県や病院ごとの募集定員の上限枠について、平井伸治知事は7日、鳥取、徳島、佐賀、宮城の4県を代表して見直しを求める要望書を厚労省に提出した。改正案では研修医の受け入れ実績が上限枠に反映されるため、4県は「過去の実績がない地方が切り捨てられる」と訴えている。
臨床研修制度は04年度から新人医師に対して義務づけられた制度。研修先を自由に選べるため都市部の病院に人気が集まり、地方の医師不足を加速させたと指摘されている。
都市と地方の医師の偏在を改善しようと厚労省がまとめた改正案では、研修医の募集定員の上限を、病院別は各病院の過去の受け入れ実績の最大数▽都道府県別は県内の病院の募集定員に人口や医師の養成状況などを加味した人数--などと規定。鳥取の場合、厚労省の試算では後者は90人となり、08年度の募集定員の70人を20人上回る。
だが、同県の調査では、07~09年度の3年間で県内の臨床研修指定の7病院で受け入れた研修医は各病院の最大値を合計しても39人に過ぎない。この実績が上限として設定されることを懸念し、要望書は、各病院が希望する募集定員の合計が都道府県の上限に達しない場合、病院ごとの上限制限を適用しないよう求めている。
厚労省は改正案について17日までパブリックコメントを募り、最終案をまとめるという。【宇多川はるか】
毎日新聞 2009年4月8日 地方版