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◆「県地域医療等対策協議会」って何をするの?
なるほドリ ドクターヘリの導入など中間報告を先月30日に公表した「県地域医療等対策協議会」って何をするところなの?
記者 県民が安心して生活できるよう、医療や介護、福祉について有識者が施策を検討する会です。昨年5月に設立され、県立医大教授や民間病院長、市町村長に加え、患者団体代表などさまざまな分野の有識者が、八つの専門部会と四つのワーキンググループで協議しています。専門部会は、医師確保▽看護師等確保▽公立病院改革▽救急医療▽産婦人科・周産期医療▽小児医療▽へき地医療▽健康長寿--の八つです。
Q 何がきっかけでできた会なの?
A 最も大きかったのは、07年8月に救急搬送中の橿原市の妊婦が医療機関に相次いで受け入れを断られ、搬送中に死産した問題が起きたことです。県保健医療計画が08年4月に期限を迎えるため、県で協議していたところだったこともあり、再発を防ぎ、実効性ある計画を作るには、多数の専門家が議論することが適当だと、県が判断したのです。先月末までに最終報告をまとめ、県医療審議会の審議を経て県保健医療計画に盛り込む予定でした。
Q 最終報告の作成は遅れているの?
A 約200人の専門家を集めたため、課題の共通認識を得るのに時間がかかっています。ただ、中間報告では、ドクターヘリの導入のほか小児救急電話相談事業の拡充など32の新規事業が提案され、今年度当初予算に新規事業として約10億3000万円が付きました。最終報告は今年夏~秋ごろの予定です。
Q 他に問題はないの?
A 塩見俊次・県医師会長が会長を務める県医療審議会が2月20日、生駒市が開設を目指す市立病院への病床配分を認めない決定をしたのに、県はその直後、同病院に210床の病床を配分する方針を発表しました。これがきっかけで、医師会枠の委員ら20人が「結論ありきで審議会そのものを否定した」などと反発、先月には辞任届を県に提出する事態にまで発展しました。県は届けの受理を保留していますが、県と医師会の対立は平行線のままです。
Q 協議会の議論に影響はないの?
A ないとは言い切れません。県内医療の一翼を担う民間診療所や民間病院の立場を代弁する委員が辞めれば、協議会の運営方針である役割と責任の明確化があいまいになりかねません。県と県医師会が歩み寄り、最終報告をまとめてほしいものです。<回答・阿部亮介(奈良支局)>
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毎日新聞 2009年4月8日 地方版