2009年4月8日1時28分
【リマ=平山亜理】ペルーで90年代に起きた軍特殊部隊による民間人殺害事件で、殺人などの罪に問われているフジモリ元大統領(70)の判決公判が7日、リマ郊外の最高裁特別法廷であり、被告を有罪とする判決を言い渡した。量刑は同日中に言い渡される。裁判は二審制で、弁護側は控訴する見通し。
有罪判決が出たのは、フジモリ政権初期の91年と92年に、幼児を含む市民や学生ら計25人が軍の「コリーナ部隊」に殺害された事件など。
フジモリ被告は90年の大統領就任後、当時、頻発していた左翼のテロを抑え込むため、組織の撲滅対策を実施し治安回復に成果を上げた。検察側は、この過程で被告が掃討のためには手段を選ばない「汚い戦争」に手を染め、コリーナ部隊に民間人殺害を命じたと主張。禁固30年を求刑していた。
判決では、こうした事実を大筋で認定。「被告は軍を管理しており、民間人殺害は被告の承認なしには起こりえなかった」とした。言い渡しの間、フジモリ被告はノートに熱心にメモをとり続けた。
弁護側は、当時の憲法上、大統領は具体的な軍の作戦に直接関与する立場にはなく、民間人殺害事件は特殊部隊が被告の意思に反して起こした出来事だった、と無罪を主張していた。