4月2日に民主党が政権公約の一つとして「民主党住宅ビジョン」(※1)を発表した。
(1)地球と人に優しい家づくり
(2)あんしん取引きで中古・リフォーム・賃貸市場の活性化
(3)木造住宅と国産材の振興で地域に息づく家づくり
この3つを軸に特にバリアフリーや省エネでのリフォーム支援を中心にしていくとの事だ。
まだ中間発表ということで詳細に関しては今後決めるという段階である。
一方、政府は平成18年末からバリアフリー新法を施行し、バリアフリー化について税制優遇、低利融資、補助制度を実施している。(※2)
また本年4月1日からは耐震性、耐久性、バリアフリー性、省エネ性についても一定要件を満たせばフラット35Sの優遇金利適用を受けることができるようになった。
これに加え住宅ローン以外でも減税、特別控除の対象にもされている。(※3)
さらに伝統工法の木造住宅普及のために建築者への補助が4月1日から始まる等行っている。(※4)
民主党はこれらの政府の施策をまったく知らないのだろうか?住宅政策を総力を挙げて検証してきたと言っている政党が、これらの施行済みの政策について同様の内容のものを発表するのは見識を疑う。しかも民主党はこれから具体的な内容について決めていくという段階でしかない。
民主党のこの政策に対する姿勢は今回だけの事ではない。
今年1月18日に民主党が党大会において二つのニューディールと称し、
・小中学校の耐震化工事
・太陽電池の徹底普及、農林漁業への戸別所得補償制度
を党首が自ら発表した。(※5)
小中学校の耐震化工事については政府の平成20年度二次補正予算に組み込まれていたし、太陽電池への補助金制度も本年から再開されている。
民主党の議員達は普段いったいどのような活動をしているのだろうか?通常なら当然の如く政策に関して調査しているはずだろう。そういった当たり前の事をしていればこのような後出しジャンケンで負けるような形は避けるはずだ。もしくは与党側との違いを出すために具体的に示して違いをアピールするはずだ。
政府がすでに行っている内容とどう違うのかという点をアピールするのかと思えば、小沢代表になってからの民主党はいままで政策を発表したあとにそれを具体的にまとめた内容のものを発表していない。政策を打ち出し、それが実現可能なのか、どのような効果が期待できるのかという点を他者からも判断できる形で示すのが立法府の者の仕事のはずだ。でなければ国会での議論にも持って行けない。
現状で民主党が発表する政策というのは漠然としたイメージだけの物でしかない。政権を取ると公言している政党としてあまりに無責任だ。
蛇足ではあるが、これはこれらの民主党の政策を報道する側の責任でもある。民主党のこういった不勉強で無責任な政策について、すでに施行されている政策に同様のものが有る事に気付かないはずがない。
漢字の読み間違いは主観的に積極的に報道するが、民主党の政策については客観的な判断材料すら提示せずに流し続けている。社会の公器などと自任している側が勉強不足や無責任を助長してはならないはずだ。
残念ながら最近の報道においてはこの民主党甘やかしが特に強くなったように思う。無責任な子供を甘やかして責任を自覚させることはまず不可能であろう。
※1:http://www.dpj.or.jp/news/?num=15627
※2:
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/barrier-free.files/08sienseido.pdf
※3:http://www.mlit.go.jp/common/000031101.pdf
※4:http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/mokuzou.top.html
※5:http://www.dpj.or.jp/news/?num=14998
(記者:鷹の爪)
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